LEAF 0061 / 2005-04-18
佳蛇 (1/123)
吸われけり
吸われけり我が子のうなじ紅しだれ
123 leaves
吸われけり我が子のうなじ紅しだれ
まぶたまぶた夢まんだらはいずこかな
ことのはの森ざわめいて冒険す
品定め苺の赤に無我夢中
五線譜のおたまじゃくしは蛙の子
洗濯をくりかえしてもとれぬ愚痴
Livingとしゃれこむ割によもぎもち!
SLの輝き映ゆる野は萌黄
気の早いビニールハウス夏模様
強がって支払う固定資産税
透明なインクで追伸書き添えり
シマウマはシマの真理を知ってシマ?
パレットのみどりの彩度あがる頃
愛用の類語辞典に投げキッス
五・七・五こめてみようか小宇宙
クローバーあんで娘はお姫サマ
触れなば堕つ馬鹿な女の猿芝居
忘れえぬこと集めたら魔窟かな
雨の糸そろそろ織ろうか翡翠の樹
うすももの人形の靴はけません
宙をみる君の瞳は過去ばかり
おにぎりに海苔をまきつつ日本人
月の輪の指輪あげよう帰り道
メールより君の字やさし手紙かな
とりどりの傘咲く音色今日は雨
朧雲祖父が召されて二十年
地に伏して木蓮木蓮地にセピア
笑うほど哀しくなるよ不思議だな
髪の毛をふとひるがえし般若かな
コトコトと煮こむ混沌鍋の中
蕗の傘手にして子らは本の中
たんぽぽの綿毛の行方空の雲
うたいたいうたいたいからうたうたい
「おんなの子」色は健在 新世紀
愛らしいペットがいるの天ノ邪鬼
きららかな喩え話の上手なコ
儚げなシャツをまといて季をわたる
はりつめた糸がぷつりと切れちゃった
移り気な君は答なき万華鏡
胸えぐる君の言葉はナイフかな
虹色の花を数えて散歩道
どろだんご大・中・小と並んでる
つないだ手 飛行機雲は 白い糸
前髪と恋切り捨てた日の未練
あのねのね内緒話はピアニシモ
女にも賞味期限はありまして?
ワンコイン M's SMILE 何コイン?
道化師はポッケに人生隠し持ち
束の間の記憶切なき甘さかな
子と同じかたちの掌銀河みゆ
封筒が耳なし芳一笑う闇
君といるだけでロシアン・ルーレット
ありがとう言い足りないよマイ戦友
蜘蛛の巣と思えば心のヒビだった
しみこんでくる句をかくね つながりたい
相聞歌ほーほけきょ♪と鳴いてみる
プチプチと愚痴つぶしをり長電話
クッキーをかじる まんまる 月欠ける
摘みゆけば爪染まりゆく躑躅花
ぬばたまの樹の根に冷たい肌を埋め
指パッチン!ナイスガイまた昭和逝く
透かしても見えない君の心かな
くしゃくしゃと可愛がられて誤解して
すがってもそれは単なる空気椅子
言葉より言霊狩らむ我は魔女
親ごころ知らず背伸びでちょうどいい
色眼鏡かけてアバタもエクボかな
次に逢うときはひまわり畑でね
花を見ず誰を見ている想いびと
しゃぼん玉割れてあのコはいっちゃった
路地裏にアリスはいるよ永遠に
留守電にツーツーツーって淋しいよ
ひとよりも妖怪やさし夜ありて
A級の幕ひきましょうぞ五月来る
冒険のおともにドロップ ビスケット!
百鬼夜行マウス走って四つ辻へ
スーパーでイチゴとスイカが赤比べ
蜘蛛の巣のハンモック乞う眠り姫
気まぐれに雨音ひびくアンダンテ
夕暮れのジャングルジムで夢探し
蝶々と風船どっちをおいかける?
街路樹の色塗り替える仕事あり
画用紙もみどりいろかな街の地図
螺旋形細胞たちの覚書
雑草にゃ雑草なりの種がある
ベランダに蜂の巣できたらお引越?
色分布つねにうつろう山も吾も
ふと抹茶アイス食べたい光る午後
春とチェスしながら夏は大人びる
子が出会う文字に(キ_キ)(ミ^^ミ)タ(− ー)タ(チ。チ)要りません
顔文字を手書きにしたらかなり馬鹿
石畳にじむ靴音両の頬
アカシアがけせらせせらと妖かしに
謎の絵に折れたクレヨン証言す
棘のシャワー薔薇のアーチか君の語か
主なき回廊の贄ひとり泣き
虫愛でる姫は常世で朝寝かな
ことのはの裏に書くから本音をね
付喪神裸足でとけゆく古女房
額縁の絵になる鍵をくださいな
愛い奴じゃ白くてぷるり冷奴
ドロップをなめながらゆくバス停まで
スイートピーあのコのリボン隠してる
おかーさんシャンプーでオバケすっごいなー
「サックスだ」「ちがうよおかーさんラッパだよ」
生娘の紫陽花甘露を知らず笑み
洗濯の乾かぬ空の瓶覗く
白無垢の牡丹娘に譲る朝
蚕豆(ソラマメ)の箸置ならべ季語とする
蛹の背ひらけばきっとエリザベス
いちごがり かくれんぼしてるの みつけるの!
膝の上絵本はちっちゃな夜のドア
さくらんぼひそかに呼んでるふたごちゃん
人形の家で飽くなくオセロする
ミニバラにねらわれているぬいぐるみ
あどけなきてんとうむしの背に宇宙
明日は明日風にまかせてうつろうの
衣がえタマネギのように脱いでいく
あと5分5分と時計と睨み合い
あたしがねジャンケン負けたら負けが勝ち
ドアあけるたった5秒の物語
おみやげは泥んこの靴赤い頬
硝子瓶虹待ち顔はツマンナイ