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中国の友人より全体に公開
2008年05月19日13:01
情報学環の院生だった劉雪雁(カンブリアンゲームではxyliu)さんからのメール。

四川大地震の救援について

皆さま

こんにちは。劉雪雁です。
ご無沙汰しておる方も多いと思いますので、BCCにて失礼いたします。

5月12日に中国四川省で起きた大地震から、明日で7日目となります。

大地震の惨状は、いろいろなメディアを通じて伝わってきましたが、メディアが到達していない地域、或いは注目されている激甚地以外の地域の被害も極めて大きく、救援が届いていなかったり、足りていなかったりする地域はまだたくさんあります。

李白の「蜀道難」という詩に、「蜀道難、難于上青天」(蜀道の難きは、青天に上るよりも難し)と書かれたように、もともと険しい山々が地震で崩れ落ちたため、救援の難しさは想像を絶するものです。今回の大地震は、本当に未曾有の災難です。

大地震発生後の2日目だった14日に、私は出張で上海と寧波に行き、今日(18日)の午後に東京に戻ってきました。中国にいた間に、仕事の合間をぬって、携帯メールや電話で四川と関わりのある親戚、友人と連絡を取り合い、被災地の状況、特に何が一番必要な救援物資かについて情報を集めました。

14日に重慶出身の友人と連絡が取れました。彼女のお父さんは被災地の役人で、救援活動に当たっています。彼女経由でお父さんに連絡しましたら、激甚地ではテントと薬品、特に破傷風抗毒素が至急ほしいとの返事が来ました。

同じく14日、被災地支援の命令を受けて病院に待機していた外科医の友人も、被災地にふとん、テント、薬品(特に抗生物質)が大変不足しているといいました。

15日に、親戚の話によりますと、大量な救援物資が成都(四川省の省庁所在地)に集まってきましたが、激甚地への道路が山崩れで寸断されましたため、救援物資が一番必要な地域に入れず、そのまま溜まっていました。

本日(18日)、救援隊を成都から300キロを離れた青川県木魚鎮に派遣したマレーシアの華字新聞編集長からのメールによりますと、食品、水、医薬品、発電機などの救援物資を積めた2台のトラックが到着しますと、木魚鎮の住民7000人が歓声を上げました。木魚鎮の住民にとって、これははじめての救援物資でした。しかし、薬品があっという間になくなりました。抗生物質、鎮痛剤、下痢止め薬、痒み止め、睡眠薬が大変不足しています。

生き埋めになった生存者の救出を祈りつつも、地震からまもなく一週間がたとうとしている今の段階で、生き残った被災者たち、特に負傷したり、病に倒れたり、家族を失ったりした人々は何が一番必要なのか、被災地から遠く離れた日本にいる自分は何ができるかを、考えてみました。いま思いついたことは、以下の2点です。

1)いま、中国国内はもちろんのこと、日本も含む世界各国から義援金と救援物資が集まってきています。中国メディアの報道や、現地で救援活動に参加しているボランティアたちのブログを見て思ったのは、被災地の復興に膨大なお金が必要けれど、現段階では、緊急救援物資がより求められています。しかも、現在、各国の救援物資はほとんど政府ルート(中国紅十字会=赤十字のこと=は半官半民の組織)で行われています。しかし、今回被災地の範囲が極めて広く、窓口が中国紅十字会の一箇所だけですと、人手も不足していますし、届かれる地域も限られてしまいます。政府ルートの救援がすでに稼動していますが、それと同時に、民間ルートも利用して救援活動を行いますと、緊急救援物資をより迅速に被災地に届かれることに役立つと思います。

民間ルートなら、信頼できる受け皿が必要だと思います。救援活動に関わっているNGOやボランティアのサイトを調べて、下記の情報を見つけました。

中国で有名なアンチウイルスソフトウェアの会社――北京瑞星科技有限公司は、飛行機2機をチャーターし、毎日、激甚地の一つである四川の綿竹市へ救援物資を運送しています。民間からの救援物資だけではなく、中国衛生部(厚労省にあたる)と中国紅十字会の救援物資も運送しています。瑞星公司のサイトには、専門の救援ページがあります(下記のリンク参照)。このサイトには、現時点で被災地が一番必要な物資リストも毎日アップデートされています。
http://www.rising.com.cn/2008/helpme/index.shtml
また、寄付者リストもきちんと公開されています(下記のリンク参照)。
http://www.rising.com.cn/2008/helpme/loverlist518.shtml

さっき、私は瑞星公司の24時間緊急ホットラインに電話して確認してみましたが、外国からの救援物資は、郵送でも貨物運送でも受け入れられるとの回答を得ました(義援金を受付しません)。また、現時点で一番必要なのは、消炎薬、消毒液、テント(帳蓬、Zhang Peng)、ろうそく(蝋燭、La Zhu)、軍手(線手套、Xian Shou Tao)、マスク(Kou Zhao)、ラジオ(収音機、Shou Yin Ji)、電池です。
*括弧内は中国語表記とピンイン表記です。

瑞星公司の連絡先は以下の通りです。
住所:中国北京市中関村大街22号中科大廈101室
電話:+86-10-82678866内線201(24時間対応)
* 内線にまわす場合、代表電話がつながったら直接201をプッシュしてください。ただ、電話対応は中国語のみだと思います。
* すでに物資を送った人たちのメモもサイトにアップされています。例えば、「開梱しなくても中身が分かるように、ダンボールに中に入っている品物の品名と数を大きく書いたほうが良い」といったようなアドバイスがあります。

各被災地が一番必要な救援物資は同じではありません。例えば、大人用の紙おむつ、女性の生理用品、絆創膏、ビニールシート、ビニール手袋などを至急に必要とする地域もあります。また、救援物資を受け入れる民間機構はここ一箇所だけではないはずです。今日は被災地の都江隁市にあるもう一箇所にも電話してみましたが、つながりませんでした。そのため、今日は確認の取れた瑞星公司の住所だけを明記しました。他の信頼できる受け皿が見つかりましたら、またその名称、住所、必要物資等の情報を皆さまにお知らせいたします。このBCCリストから外してほしいという方がいらっしゃいましたら、どうぞご遠慮なく連絡してください。

2)現段階で、二次災害を防ぐことは急務となってきています。被災地の衛生状況が悪化していますので、感染や疫病が蔓延しましたらなおさら大変です。また、救助された被災者、また救助に当たっている人々は心身とも疲れきっています。しかし、中国では二次災害を防ぐための知識や情報が極めて不足しています。たとえ救助に当たる人たちでも、十分な専門知識を持っていません。一方、日本は防災の知識や経験をたくさん蓄積してきました。しかし、私は『防災白書』や、自治体レベルでまとめられた二次災害防止対策、日本赤十字の資料などを調べてみましたが、ご存知のように、インフラ、教育水準、社会状況、災害のタイプがあまりにも違いますので、日本の経験がそのまま今回の被災地に応用することができないと思います。

震災の二次災害を防ぐために、「どんなことが一番大事なことなのか。どんなケアをすべきなのか。どうすれば一番効果的なのか」について、誰でも(教育レベルの低い人たちでも)分かるような、簡潔明瞭な「秘訣」がありましたら、ぜひ教えてください。それを中国語に訳して、中国のネットに載せるか、中国の各メディアにいる友人たちを通じて周知させることができると思います。生き残った人たちの中から、ふたたび犠牲者が出ないように、せめて二次災害を最小限に抑えなければと思います。

このメールを書くには、4時間以上もかかってしまいました。書き終えたいま、日付も変わってしまいました。今日19日から三日間は、「全国哀悼日」とされたようですが、被災者たちが一日も早く地獄から脱出できるよう、お祈りしています。

一人の人間がいかに無力なものか、今回の震災で痛いほど分かりました。しかし微力ながらでも、被災者たちのお役に立てればと思い、皆さまのご協力をお願いしたいと思います。

どのような形でも構いませんが、力と知恵をください。

どうぞよろしくお願いします。

長文ですみませんでした。

劉 雪雁
2008年5月18日−19日

転送自由

コメント

中村理恵子2008年05月19日 14:39
[・・exclamation ×2]
元祖いまじん2008年05月19日 16:25
私もあるメーリングリストで、劉さんからのメールが流れてきて、朝イチで転載の確認を取ったところでした。 いま、私が関わっている日中映像交流団体「東京視点」でも緊急支援会議を開き、対応策を練っているところです。
うらら2008年05月19日 18:23
香港よりコメントいれます

今日、地震発生時刻(香港時間2時28分)に、香港でも黙とうをした企業が多かったように思われます。

わたしはその時間には家にいたのですが、
(偶然かもしれませんが)外を走っていた車が、長くクラクションを鳴らしていました。

募金なども、街角の募金活動はもとより会社単位でもしているようですよ。
正直、普段はケチというか拝金主義の香港人ですが、こういうときには非常に気前よく(?)ポケットマネーからけっこうな額を募金しますので頭が下がります。

安斎利洋2008年05月20日 01:23
香港島は、揺れましたか? そんな狭い大陸じゃないか。

日本のニュースを見ていると、中国がどんどん気持のつながらない国になっていくようですが、友人や、友人の友人がいる場所は、つねにリアルですね。

劉さんと昔、知り合いのアジアプレスの記者がイラクで被弾しそうになる映像をテレビで見て、イラクが体感としてつながった、という話をしたことを思い出した。

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