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ARの狂気全体に公開
2008年05月16日13:00
各地で溢れるようにウォールペインティングをしているBLUが、すごいストップモーションアニメを作った、とgodzi2さんから教えてもらって、見ると、うーん脳細胞が沸く。

いわば、狂気の疑似体験だ。風景は、壁は壁、廊下は廊下、というように意味(シニフィエ)に縛られているけれど、こういう悪戯をかますと、意味の外れた記号として戯れはじめ、これでもかという執拗さで沸いてくる。だから、この作品は星座作用と同根だ。

拡張現実(Augmented Reality)は現実に情報空間を重畳させる便利な情報革命だと考えている人も多いけれど、ARの本領もまた同じ戯れで、つまり狂気をはらんでいないARは死んでいる。というわけで、AR系必見。

MUTO by BLU

同じ作品の、BLU本人による投稿
http://www.vimeo.com/993998

BLUのブログページ
http://www.blublu.org/blog/

コメント

ikeg2008年05月16日 13:13
すばらしい、Artificialとれあlの融合ですね。ALIFEにはこれがないんだよねー 
安斎利洋2008年05月16日 13:34
どの空間でやるか。狂える空間を見つけて、ALIFEをやるってことじゃないですかね。
Mike2008年05月16日 13:56
なるほど。壁や原っぱ、道路があるからこそ、アニメが生きてくるんですね。

特に面白いのは、後半の貼り紙を食べてしまうシーンですね。
後は、頭山的な再帰が多く含まれていますね。

ところで、画面がぐらぐら揺れているのは、クレイアニメ風にコマドリしているから? それとも、ARツールキット的な手法で、実と虚の重ね合わせをしようとしているから?

安斎利洋2008年05月16日 14:03
コマ撮りですね。

影から太陽の動きがわかるので、どういう時間をかけて描いては消しているか、わかります。カメラを安定させていないところも、粋ですね。
kono2008年05月16日 14:13
すごい!
実際にペインティングしているので前のコマの残像(いや消し跡)が
残ってるし,どれだけのペンキ(ともちろん手間)を消費したんでしょうね.

通常のアニメーションのように失敗したコマをあとで修正というわけにゆかないのに
これだけ長い作品が作れるとは!

>ところで、画面がぐらぐら揺れているのは、クレイアニメ風にコマドリしているから?

一コマ分を描くのに結構な手間(=時間)がかかっていますから
カメラを三脚に固定して置いておくわけにはゆかんでしょう.
それこそペインティングに没頭している間に三脚ごとカメラを盗られちゃうんじゃないですか?

ks912008年05月16日 14:45
んがも!
遊星からの物体X!
蛇居@pray tibet2008年05月16日 15:34
第一印象はシュヴァンクマイエルぽいんだけど、街中に出現したのがすごい。

たぶん、製作中は無意味な作業の繰り返しに見えるものがコマドリと言う異なったタイムラインによって、アニマがやどるって、ある意味新しい生き物を創造しているみたい。

徹夜明けのぼうっとした頭でも興奮します。
jun@NP2008年05月16日 15:45
すごすぎです。眩暈しました。
miyako/玉簾2008年05月16日 15:51
凄いです!口開けたまま見入っていたら中間以降、気持悪くなってきました。
胎児のようなおじさんのような蜘蛛とか幼虫とか蝶とかいろいろな表現があまりにもわかりやすく狂気で。これは凄いですね。アナログでここまでやられちゃうと参ります。
2008年05月16日 15:54
町の人にはみえない時間構造がいいなあ。

よかったら、こちらも遊びに来てください。
http://www.glocom.ac.jp/2008/05/_ar.html
SYNDI2008年05月16日 17:15
口の中から歯が歩いてゆく・・・・。きゃはははは。(そういう感心のしかたではいけないのでしょうが、歯がうずきます)

モチーフが体だ、ということも訴える力になっていますよね。

音のつけかたはシュヴァンクマイエルに確かに似ていますね。
安斎利洋2008年05月16日 18:31
そうそう、

>製作中は無意味な作業の繰り返しに見えるものがコマドリと言う異なったタイムラインによって、
>アニマがやどるって、ある意味新しい生き物を創造しているみたい。

とか、

>町の人にはみえない時間構造がいいなあ。

あたりが、この目眩の正体ですね。オリジナリティがどうであれ、リアルとの浸潤関係を作ったのがすごい。仮にこれがARで作られていても、なんてことないですね。

>前のコマの残像(いや消し跡)

ああいう汚れみたいなのが、大事なのかもしれないですね。

奥歯は、たしかに二本足だ。
あおいきく2008年05月16日 19:10
試しに8歳に見せたところ「これ描いたのを消しながらまた描いてるんだね。描いた人すごいね。おもしれ〜」と釘付けでした。
安斎利洋2008年05月16日 19:58
そうかあ、大人と8歳が同じことを考えながら釘付けになる、というのは、ひょっとするとすごい作品かどうかのテストかもしれませんね。負けないぞ。
Linco2008年05月17日 09:33
いや〜、これは見てしまいます。

手間かかかった分がもろに伝わってきますね〜。
中村理恵子2008年05月17日 10:39
>負けないぞ。

負けないぞ。
びすけっと2008年05月17日 14:03
貞子がブラウン管から出てくるのと同じ感じがします.

たとえば,周りの人と時間軸が違うけど,リアルな子供だけこのコマドリの時間軸で歩いてきて
壁のアニメと対話する,ってのはどうでしょうね.子供にしか見えない世界.
安斎利洋2008年05月17日 14:37
>子供だけこのコマドリの時間軸で歩いてきて壁のアニメと対話する

画面の一部がゆっくりモーフィングする映像の、どこが変わったかあてるクイズ。あれは、最初と最後をストップモーションでコマ撮りすれば誰でもわかるようになりますね。
ってことは、なめらかな映像を見てもわかる人は、ストップモーションで見る方法を自分の中に装填している人だといえる。

「ベルリン天使の詩」で、天使が子どもだけに見えているのは、子どもが独特のストップモーションカメラをもっているという解釈もできる。霊界が見える、みたいな話も、過剰な連想エンジンを装填しているということができます。

スリットが回転して、アニメが立ち上がってくる装置がありますが、スリットをメタファーにするAR=拡張現実を考えると、なめらかな時間や、なめらかな連想では発見できないものを誰でも見える形にする、拡張パラノイアとか、拡張霊能力とか、そういう技術の方向も、ありえるなー。
smi2008年05月18日 14:59
一時期、両目を閉じて、開いてをぱちぱち繰り返しながら、街を歩くという行を自分に課したことがあります。はじめのうちは、怖くてあるけないのですが、そのうちなれてくるとある種の回路ができあがってわりと普通に歩けるようになります。なれてきたら、目をとじる時間を1秒2秒とだんだん長くしていく。開くのは一瞬だけ。
これは残念ながら、閉じている間も意識が働いていて、暗闇が見えてしまう。目をとじている分の意識はなければいいのにとおもいました。
が、ひょっとして普段の目を開けっ放しの生活でもじつは、意識できない間の部分があるんじゃないかと、クロックをあげていくとそれも見えたりしないかと思ったものです。
にしの2008年05月19日 00:41
クロックの違う世界といえば、こんな面白い動画があります。
http://www.youtube.com/watch?v=Sr2JneittqQ

daft pank というグループは全般におもしろいことをやっていて、ファンが作ったPVを集めていたりします。
同じ曲の、これもかなり面白いです。
http://www.youtube.com/watch?v=bl6RJyZdBSU

どちらも中盤から盛り上がります。
安斎利洋2008年05月19日 23:44
>smiさん、

きのうからずっとこれにはまってます。基本的に眼をつむって、数秒に一度、フラッシュで眼を開いて、それでどれだけ歩けるか。

家の中は、もともとも「眼をつむっていても歩ける」という状態だから、かなりいけますね。たまたま行った吉祥寺の街はずれをこれで歩いてみましたが、知らないところでも案外大丈夫。
驚くほど、わずかな静止画で空間は認知できますね。

奥が深いので、のちほどまたレポートします。

>にしのさん

これはリアルタイムですよね。映像だと、いまいち信じきることができない。目の前でやられたら、驚くだろうな。

長生きしたい、というんじゃなく、どれだけ計算ステップを生きられるかですね、人生。
にしの2008年05月20日 11:59
分かりにくいかもしれませんが、1つめのムービーは、倍速再生になってます。
動きは倍速再生で、音はリアルタイムの曲ピタのダンスになっているところが見所です。
安斎利洋2008年05月20日 12:43
帰ってきたヨッパライ、でしたか。
ルービックキューブと違って、論理的な判断がいらないから、リアルタイムでもできそうですね。人間は、どこまで昆虫の動きに近づけるか。
にしの2008年05月20日 13:09
>帰ってきたヨッパライ
!そうでした。
smi2008年05月21日 00:22
>きのうからずっとこれにはまってます。基本的に眼をつむって、数秒に一度、フラッシュで眼を開いて、それでどれだけ歩けるか。
くれぐれも、目を瞑っている間に
車に轢かれないよう、
犬をふんずけないよう、
<<P・K・ディック>>フラグをたててしまって障害物をうっかりすり抜けてしまわないよう、
お気をつけください。
安斎利洋2008年05月21日 00:45
>障害物をうっかりすり抜けてしまわないよう、

眼をつむっている間に何かすりぬけても、まったく気づかないですね。
逆に、いま連続して世界をみているつもりでも、いろんなものをすり抜けているのかもしれませんね。

この「修行」を道でやると、かなり視線がつきささってきます。明日、サングラスをしてやってみよう。

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