安斎利洋の日記全体に公開

2005年02月04日
12:41
 もしも小説に特許があったら
「はいもしもし、あ、森ちゃん? うん、原稿、できてない。だから、うん、まだだってば。また森ちゃんが自腹で入稿すればまるくおさまる、なんちゃってね。だから泣くなって。しゃれになんない?、漫才書いてるんじゃないからしゃれじゃなくていいの。だってしょうがないじゃない、二十枚くらいもろ特許踏んじゃってさ、オレびっくりよ。ほんと。岩舐の知財と新長の知財で裏取引してるっていうから書いたのにさ、ありゃないよ、しゃれになんないって、え、だから漫才書いてないよ。まさか、最後に……で絶句させるとこまで踏んでるってことはないよね、って言ったら、編集長何て言ったと思う?分春が先月おさえました、って、そんでもって最近は若手が育たないのなんのって言うなってのよ。みんな……くらい書くでしょ。プロになって出版社と契約するまでは、一行も書けないよこれじゃ。書かないでどうやってプロになるってのよ。いやな世の中だね……、え? 電話くらい勝手に絶句させろよ」
 

コメント    

2005年02月04日
12:55
あ っ こ
絶句まで踏んじゃうなんて・・怖ぁ
2005年02月04日
12:59
はらこ
松本零士は自分の作った造語への独占的使用権を主張していますね。

じゃ銀河鉄道はどうなんだって批判がありますが。
2005年02月04日
14:47
imochang
とりあえず、絶句!というか、安斎さん、巧すぎるっ!
出版社との契約までは、ほんま、長い長い道のりです・・・
コネが腐るほどあっても、書かなきゃしゃーない・・・
でも小説に特許あったら、もう踏み倒してますね。
広辞苑とか、類語辞典とか、どうなるんだろう。
とにかく、MIXI乱用中の私を、お兄さま、どうか許してください・・・(祈)
2005年02月04日
18:05
タイトルを「もしも絵画に特許があったら」とか「もしも写真に特許があったら」とかにしたらもうめちゃめちゃすごいことになるでしょうねぇ(笑)
「この絵は構図の段階で特許30個踏んでます」とか・・・
2005年02月04日
18:07
はらこ
「もしも絵画に特許があったら」とか「もしも写真に特許があったら」

探すと意外に見つかっちゃうかもしれませんよ。
結構、しょうもないアイディア特許にしている人多いですから。
2005年02月04日
18:21
びすけっと
特許があっても,自費出版がやりにくくなるだけで,
出版社に応募するのは問題ないんじゃないでしょうか?
どうせ,出版社同士でクロスライセンスを結ぶだろうから.

インターネットで勝手に配信している小説が面白すぎて
しかもその本人が出版するのを拒む,ということが続いて
本が売れなくなったら,出版社がこういう協定を結ぶかも
しれない.
2005年02月04日
18:41
>>結構、しょうもないアイディア特許にしている人多いですから。
シャレにもならんのか・・・(^_^;)A
2005年02月04日
18:46
はらこ
>「もしも絵画に特許があったら」とか「もしも写真に特許があったら」

なんかあるかなって探していたら、自分の恥ずかしい特許が見つかってしまいました。忘れていたのに…(涙)
2005年02月04日
19:37
はらこ
花びらを使った貼り絵は実用新案だそうです。

みなさん権利者に無断でやらないように。
2005年02月04日
20:44
安斎利洋
特許が表現の世界に適応されると、こんな変なことになるんだよ、というジョークのつもりで書いたんだけれど、よく考えてみると音楽著作権って、これに匹敵するくらい変です。歌詞のクロスライセンスってことはないかもしれないけれど、JASRACのやっていることは、音楽文化にブレーキをかけているとしか思えない。

それから、絵画について特許的な著作権の主張をした訴訟はいくつもあります。たとえば、水墨画を描くあるイラストレーターが、胡瓜にキリギリスを配した絵は自分のスタイルだから、同じテーマを車の広告に使ったイラストレーターを訴えた、なんてことがあった。結果がどうなったかは、追跡していません。

Cマガジンの表紙をやっている秋山なにがしが、若手のイラストレータを「作風を真似た」といちゃもんをつけてつぶしたという話もあります。

松本零士の話は初耳。

はっきり言って、こういう了見は<red>クズ</red>ですね。
(色つくわけないか)
2005年02月04日
20:56
はらこ
探してみると、絵画の技法を特許か実用新案にしているケースはいくつかありましたね。
あと、展示の仕方とかを特許にしているケースも。

松本零士は何ヶ月か前の著作権がらみのシンポジュウムかなんかでの発言です。同時に著作権を作者の死後120年まで延長することを主張していて、この二つを合わせるとどう考えても松本零士は宮沢賢治の造語を無断使用していることになっちゃんですよね。

>はっきり言って、こういう了見は<red>クズ</red>ですね。
>(色つくわけないか)

プレミアム会員になってください(笑)
2005年02月04日
21:22
安斎利洋
>松本零士は何ヶ月か前の著作権がらみのシンポジュウムかなんかでの発言です。

これ、どこかに情報があったら、ソースを教えてください。

作家は団結してお互いの権利を守ろう、という空気を作る連中は非常に多い。JASRACだって、お上ではなく民間の組織ですから。実は、自分の首を絞める結果になることまで、考えが及ばないんですね。本当に良い作品を量産できる作り手は、そんなケチなことは言わないものです。
2005年02月04日
21:24
imochang
はー、いろいろ、あるんですねえ・・・

でも、技法や構図、展示なんかが特許になっているとすれば、デザイナーなんぞを長らくやってきた私としては、一体どのくらい、特許を踏んだか、踏み返されたか、もうわかりません。

とはいうものの、伝統産業関係の仕事をしていると(和装や和菓子)、一定の決まり事もたくさんあるので、文化であることそのものが、特許という気もしてなりません。
かなり特殊な世界ではありますが・・・

ちなみに、京都の唐紙屋さんで「唐長」さんというところがあります。
桂離宮の内装などにも用いられているくらい、伝統のあるところで、江戸時代から保存されている素敵な版木がたくさんあるのですが、そこの紋様、フリーで使わせてもらってました。
懐、深いです・・・
自信と歴史の重さが、そうさせている気がします。
2005年02月04日
21:28
はらこ
ここで紹介されています。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/09/21/4702.html

そういえば、最近松本零士ってなに描いているんですかね。
あんまり知らないなぁ

やっぱり、窮すれば何とかなんでしょうか?
2005年02月04日
21:35
安斎利洋
>一体どのくらい、特許を踏んだか

いまのところ絵や小説の世界に特許はありませんから、ご安心ください。スタイルや技法にも、著作権の創作性は認められないのが慣例だと思います。でも、権利があると勘違いしてしまう人がいるのが面白い。

昔から、こういうのって業界内の不文律なんですよ。でも、業界が違えば、かぶっても問題ない。ピカソやマチスは、イラストレーターの中にいっぱいいるじゃない。でも、現代美術業界には絶対にいない。踏む踏まない以前に、やっていけるコンテキストがない。

結局、優れた作品は、踏む踏まないというようなところにはなくて、そうそう、懐の深いところににしか生じないんでしょうね。
2005年02月04日
21:41
安斎利洋
「あ、森ちゃん?韻は踏んでいいのかな。あ、踏んじゃうから踏んじゃだめ。五言絶句とかも、あ、絶句はみんなだめ。りょーかい。」
2005年02月04日
22:07
imochang
>結局、優れた作品は、踏む踏まないというようなところにはなく
>て、そうそう、懐の深いところににしか生じないんでしょうね。

そのとおりだと思います。
少なくとも、いくら好きでも、宮沢賢治のパクリをしようなどと、夢にも思いませんからねえ・・・
でも、宮沢賢治は懐が広いから、松本零士が「銀河鉄道」も、なんとも思ってない気がする。
どう見ても「ジャングル大帝」のパクリだった「ライオンキング」、「憧れだったディズニーにアニメ化されて、手塚は喜んでいると思います」というコメントも、胸に残ってます。
懐、深っ!
2005年02月04日
23:13
著作権の場合は、著作物であれば発生するので、新聞社などではよく「きのうの記事は私が○ヶ月前に夢で見て書き留めて××に配布したものと同じで、、、」というような問い合わせがあるみたいですね。あと、こういう類の掲示板などでも、たまに「××さんの書き込みは、私の著作権を侵害していて」というユーザーさんのクレームとかありました。
もともとの著作者だと主張する張本人が親告されているので、これは軽く扱うことはできないです、、、いったいどうしたらいいんでしょうね。
って、別にいま困ってるわけじゃないんですけど。
でも、著作権について突き詰めていくと、そういうところに必ず行き当たりそうで。
2005年02月05日
00:16
まえG
いろいろ考えさせられます。
独禁法ってのは、何のハンディもつけないと必ず大企業が勝っちゃう(そして、消費者は損をする)からできたわけですけど、著作権も市場に任せておくとどんどん大企業の有利なようになりそう。

http://ittousai.org/mt/archives/cat_intellectual_freedom.html
http://ittousai.org/mt/archives/2003_04/free_culture.html

まあ、日本の企業にはまだまだ知恵(悪知恵?)が足りないみたいですけど。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0406/18/news062.html
2005年02月05日
08:26
安斎利洋
まえGさん、ぴったりの引用、どうもありがとう。松本零士の出ているシンポを見てもわかるとおり、著作権をがちがちにしていこうと唱えるのは、著作物の二次利用者と、踊らされた作家です。

れさんの日記
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=8109285

>私が初めて出会ったことに誰かはすでに出会っている
>何かを見たり聞いたりして感動!したときにはいつもつい、
>こんなふうに考えてしまいます。

自分が描いた絵は、もしかすると何万年か前の誰かが描いた絵と同じかもしれない、なんて空想を楽しむことがあります。自分の体験、自分の表現は、すべてがオリジナル。ほかの人にとっても、それはオリジナル。このゆるがせない関係を著作権・人格権が保証することはあるけれど、問題になるのはいつも、その人だけのオリジナル、という排他的な財産権です。

ひとつの知識には、ひとりの人しか入れない、というモデルを誰が考えたんだろう。そんなのはナンセンス。うまくいくわけないから、先着順ということになった。ときどき、どっちが先かわからなくて争いになる。当然です、同時多発なんだから。
2005年02月07日
11:39
まる。
はじめまして、imochang家から来ました。私は作家業界人です。
このトピ、非常に面白いです。素晴らしい!

>著作権をがちがちにしていこうと唱えるのは、著作物の二次利用者と、踊らされた作家です。

ホント、同意します。
頭すり減らして考えた言い回しが、他人に感銘を与えたとしたら、発信者はそれが嬉しいのです。元々、伝えたいから書くんだから。心に響いて欲しいし、響いてくれたなら、使ってくれれば良い。

製作者がヘンな知恵をつけられて狡賢くなっては、アートは楽しくありませんね。統制付アートだなんて、悪い冗談みたいです。
でもって、安斎さんの書かれたご冗談「もしも」は、とっても面白いです^^。
2005年02月07日
13:07
安斎利洋
まる。さん(呼ぶだけで文章が途中で切れる。すごい)

作家業界人からお褒めの言葉をいただいて、光栄です。

まともな作り手は、みんながちがちの権利地獄に嫌気がさしているものです。普通の感覚をもった仲間がいると、安心します。
2005年02月07日
15:49
あ っ こ
他の事をネットで調べていましたら・・・ちょっとした発見をして書くならここしかない!と

イタリアの学者が数年前結構分厚い本を出したのですが、それを本文丸ごと早々にネットじょうにながしてますね。明らかに著作権等にたいする意思表示ですね。

以下解説引用>>(一ツ橋の先生が書いた書評より一部抜粋)
この分厚いハーバード大学出版会の英語版『・・』(2000年)は、すべてインターネットで無料で手に入ります。つまり、彼らの資本による知的所有権に対する批判、・・・「知の再領有」の一つとして、数カ所のサイトで英語の全文PDFファイルが入手できます。書評(これだけでも大きいサイトが3つほどあります)や解説・論評も、英語、ドイツ語、韓国語等々100以上のサイトで簡単に手に入ります。・・・・

結構本気で豪気なひとも世界にはいるのですね。出版社は嫌がるだろうけど。(英語人口は多いからあまり関係ないかも?)
2005年02月07日
21:05
imochang
>まる。さん(呼ぶだけで文章が途中で切れる。すごい)

ごめん、こんなとこで書くのもなんなんですが、わしも、書きながら、ずっと、そう思ってた・・・
いや、いいのよ。愛してるから。

こんなことを書くと、大先輩である安斎さんに、とても失礼かつ不遜だと思いますが、プロジェクトなどでおつき合いさせていただく中で、ベクトルや角度は全く違うけど、安斎さんと同じふうに何かをとらえているっ!と感じる瞬間が、ときどきあります。

今回は、一緒でした・・・
まる。さん、ありがとう・・・(なんのこっちゃ)
2005年02月07日
22:29
安斎利洋
きっと大昔、同じ猿だったのだと思います。
2005年02月07日
22:37
安斎利洋
>この分厚いハーバード大学出版会の英語版『・・』(2000年)

・・の中身が知りたい。

ボルターの「ライティング・スペース」とか、テッド・ネルソンの「リテラリー・マシン」とか、電子文書そのものをテーマにした本のなかには、デジタルデータを無償配布している太っ腹の本がいくつかあります。

メッセージとして、非常に面白いと思う。でも無償で撒くというだけでは、霞を食える人しか表現活動ができないことになってしまうから、なにか別のビジネスモデルが必要です。びすけっとさんも、企業に特許でない儲かる回路が欲しいと書いてましたが、著作権や知的財産権でないやり方で、知的活動を経済に結びつける方法を、探ってみたい。
2005年02月08日
00:23
あ っ こ
>びすけっとさんも、企業に特許でない儲かる回路が欲しいと書いてましたが、著作権や知的財産権でないやり方で、知的活動を経済に結びつける方法を、探ってみたい。

同感です、もちろん。わたしの興味でもあります。またあちこち行ってきます。

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