安斎利洋の日記全体に公開

2005年02月03日
16:35
 またまたジャストvs松下問題
人間をぶっちぎりで拡張するような独創的な知識なんて、実は100年に数個ある程度で、たいていの知識はすでにある知識の小変形や小修飾でしかない。

ヘルプアイコンのアイデアって、グリフについてのメタ言語なんだから、つまり漢和辞典とおんなじなんじゃない?

未踏ソフトでいろいろな開発者と知り合って、お互いのアイデアをぶつけ合うと、自分のとっておきのアイデアがびっくりするくらい相手のアイデアとカブり合う。はじめはちょっと居心地が悪いが、今度は追いつけないとこまで抜きん出てやる、という気持も起こって、そのうちこの切磋琢磨のゲームが面白くなってくる。

知識が知識を産み出す空間構造は、つまるところカンブリアン・ゲームだ。種に近いところで、そこから生まれた枝葉のアイデアまで自分のアイデアだなどと主張するヤツがいたら、誰も絶対に相手にしない。創発的な遊びにならないからだ。

そういう、プレーヤーのなかから生まれる不文律みたいなものが、大事なんだと思う。
 

コメント    

2005年02月03日
16:59
中村理恵子
安斎さんはじめ、この件、いろんなところで深くうなずくようなやりとりあってまったくだと思う。

もっと表面的には、松下もいよいよか。とも思う。
会社でも人間でも、自分でも、うまくいってるときは、
こんなちょっとはずかしい権利を主張したりしない。
だいたいこうしたことにすがるときは、弱ってるときや
終焉の近いことを指してるんでないだろか?
いやいや、なにをおっしゃる。
ビジネスの、びの字の厳しさ、本音もしらないくせに。
といわれれば、はい、まったくです。


2005年02月03日
17:34
はらこ
この件で松下をよく言う人はほとんどいないですね。
一部で不買運動とかも始まっているし。

「試合に勝って勝負に負ける。」というのはこのことなんでしょうね。
2005年02月03日
17:54
安斎利洋
案外、ジャストシステムにとって起死回生のチャンスだったりしてね。

僕としては、これがきっかけで知的財産権の過剰な拡大についての議論の火がつくなら、怒りというより、うれしいできごとです。

そういえば、LZWでユニシスは儲けたんだろうか?
2005年02月03日
18:01
はらこ
>そういえば、LZWでユニシスは儲けたんだろうか?

どうなんでしょうね。それなりの金額は手にしたでしょうが、あれで評判落とした部分もありますからね。商談とかにマイナスの影響が出ていたかもしれません。なかなか測定しにくいですが。

昔書いたソフトで、ライセンスの関係でGIFを封印していたアプリにGIFサポートを追加しようという話が、私の周りでは最近ちらほら出てきています。
2005年02月03日
19:28
びすけっと
いや,もうPNGで充分なのでGIFはどうでもいいです.
色数は少ないし,マスクは1bitだし.
おかげで,いいフォーマットが普及してくれた.

> だいたいこうしたことにすがるときは、弱ってるときや
> 終焉の近いことを指してるんでないだろか?

そうだと思いますよ.いまは,どこでも,知財部門が何とか
利益を上げようとやっきになってるんじゃないでしょうか.
2005年02月03日
20:24
はらこ
とはいえMNGだとアニメーションの仕様が重すぎるんですよね
それにLZWの軽さも魅力的です。
2005年02月03日
20:44
HAL_♪I'm the one.
松下も松下ですが、ジャストも一太郎と花子が「日本のスタンダード」と言い放つところが、なんだかなぁ。
2005年02月03日
20:51
安斎利洋
特許の気持ち悪いところは、潜伏していて突然権利を主張するサブマリンが許されているところなんですよ。LZWが知的財産であることに異議はないんだけれど、アヘンのように広まったあとで、ああいう主張をされると、いやになる。

特許権の所有者は、それを周知する努力をしないと無効になる、というルールにするとどうだろう。特許の宣伝にお金がかかるから、つまらない特許は出さなくなるだろうし、その宣伝を読むこと自体勉強になるし、特許を踏まないために他のアイデアを考えるから新しいアイデア創出を促すだろうし、正当な特許権の買い手も見つかるだろうし。
2005年02月03日
21:25
小林千早都
>特許権の所有者は、それを周知する努力をしないと無効になる
なるほど、その手がありましたか!
努力の”基準”ってのを作るのがちょっと難しそうだけど、
潜っていていきなり浮上するのはなしよ、
という意味ではなかなか良さそうですね。
2005年02月03日
22:29
びすけっと
サブマリンは日本では難しいんじゃないでしょうか.
アメリカは発明したことを証明できれば,過去に遡って
出願できるので,広まるのを待ってやれるけれど.
アメリカ以外の国は特許庁に出願した日で決まる.
アメリカのひどいところは,これがアメリカ国籍を
もたないと適用されないことなんです.日本企業が
アメリカで特許をとるのはすごく不利.

GIFが問題になったのは,企業買収で特許権が移って
それで方針転換をしたもんだから.

特許の宣伝は,いちおう特許庁のページに行くと,
全部見れますから.あれ読んでも全然勉強にならない
ですよ.
2005年02月03日
23:13
安斎利洋
サブマリンの反対って、なんだろう。ホバークラフトかな。

権利を主張したい相手に対して、公式な告示をしていない場合は、無効である、としたらどうなんだろう。告示が届かなかった人は、自由に使える。

うーむ、スパムになっちゃうかな。
2005年02月03日
23:17
Sat☆ko
はじめまして。知財の話があまりに熱いので飛び込みたくなりました。

>サブマリン
この表現、確かに!!って思いました。目に見えないのに突然現れて攻撃されても、びっくりですよね。
これからそれは私のものだからってバーゲンセールでの引っ張り合いみたいになって、先に掴んでた人が有利(でもないでしょうか?笑)のようなビジネスになっていくのでしょうか?
最近テレビでも特許で稼いだ、みたいなのが流行っているのでサブマリン保険のために申請件数がどんどん増えていくのかなぁと思いました。
2005年02月03日
23:26
特許権の起源は、15世紀ヴェネチアにさかのぼるそうで、特許推進政策と、経済政策には深いかかわりがあるそうな。そして、いまでは特許推進の親玉のようなアメリカでも、アンチパテントとプロパテントは周期的に繰り返しているそうな。いまは、プロパテントの興隆期だそうで、ひとによっては、この流れはあと30年近く続くとのことです。以上、受け売り、つまりだれかの知的活動の成果を侵害しています。

日本では、米国に追随しないといけない、ということと、なんだか、知的財産権をちゃんと認めないとコッカとして馬鹿にされそう、ということと、国内でも企業がそれで鍛えられていないと、少し前の米国での国内企業の敗北のようなとんでもない事態を招きかねないという、いろんな国策的な思惑が入り混じって、いまはプロパテント政策隆盛期なんだろうなあと思います。

国内企業同士で、かつ、こういう内容での紛争は、ちょっと特許権のステータスをミジメなものにしてしまいますよね。でも、決まりごとである以上、守らせなければ、という考え方をする人も必ずいるだろうな。
2005年02月03日
23:37
ユミ
>決まりごとである以上、守らせなければ、という考え方をする人も必ずいるだろうな。

つまんないじゃん。
ルールって守った方が面白い事が起る場合にこそ、有効なのになぁ。。。
2005年02月04日
10:46
匿名希望中・おーもり
もう一太郎と花子主流の昔で。ワープロ専用機(死語かな)より、まだ文書作成能力については未発展じゃないかしらの頃から、仕事をしていたので。
松下もジャストシステムも、まだそこに固執していたのかと、実は新聞の一面を見たとき「懐かしい」を、感じました。
そこで抗議しあうよりも、もっと開発底力で競争…なんて、そう簡単にはいかないぎりぎりのところで、頑張っているような悲哀感を感じました。やはり危ないのでしょうか。
ただ、今の14バージョンに会ってみて、そっこから問題となるのか!7バージョンからとの差異を視認してみたい気持ちが湧いています。問題覚醒は、興味も呼びます。両社にちょっとだけ波及利益があるのかな。この分野では、駄目かなー。
2005年02月04日
10:51
安斎利洋
>そこで抗議しあうよりも、もっと開発底力で競争…なんて

ねぇ。もっとかっこいい戦いを展開してほしいものです。まるで、バーゲンのワゴンの底から、つまんないものを引っ張り合っているみたいだ。
2005年02月04日
12:58
でも、あれですよね、松下ももしかしたら「やってみたらどうなるかな」と思って、ためしに訴えてみたのかもしれないですよね。一応、ああいうのってまだ判例があまり積みあがってないから。
2005年02月04日
16:58
この手のHELPの表示は、業界では常識的なものですよね。
だとすると、裁判官が業界非常識人なのかも・・・。

本でいうなら、「目次」や「索引」に対して特許を主張しているのに近い感じを受けるのは、私だけでしょうか?
2005年02月04日
17:41
はらこ
>この手のHELPの表示は、業界では常識的なものですよね。

今となってはそうですが、この特許が89年に取得されているところが問題なんですよ。89年より前にやっている例が見つけれなかったから負けたんです。
判決文を見る限りではかなり近い公知例を出しているんだけどまったく同一の操作手順ではないようです。容易に類推できるかところでは争点にはなりうると思うけど、非常識な判決とはいいきれないと思います。

今のところ一番近いの安斎さんのタブローの例かなぁ。
一部で87年のマックに同様の機能が搭載されいていたという説があるんだけど、見てみるとキーボード操作との組み合わせなので今回の特許と同じとは言い切れないんですよね。

ちょっとした違いに過ぎないけど特許としては別物にみなされるんじゃないかな。

89年だとまだWindowsは3.0が出るかでないかだし、MacOSはSystem6.0の時代、今とは大分状況が違いますね。
2005年02月04日
17:41
はらこ
89年に取得 -> 89年に出願

でしたね。訂正します。
2005年02月04日
20:30
安斎利洋
SuperTableauについては、89年より前に発売した製品にはヘルプボタン(ヒント機能、電子マニュアル機能なんて言ってました)はついてなかったかもしれません。ちゃんと調べておきます。いずれにしても、ヒントボタンだけはアイコンが絵ではなく、[Hint]だったようです。メタな機能なので、わざと文字を使う、という考え方でした。
2005年02月04日
20:39
はらこ
実は文字だと松下の特許には抵触しないんですよね。
あるいはキーボードの操作でも。実のところ松下の特許の新規性ってモード指定にアイコンを使っているところただ1点だけなんですよね。

多分、一太郎というアプリ全体に対する寄与度を見ると0.1%にも満たないんじゃないのかな。それで出荷停止、廃棄って言うのはちょっと酷いよね。

とはいえ、問題なのは特許権者にそこまで認めてしまう特許制度にあると思います。たぶん、裁判官の裁量権の範囲ではどうにもできないんではないでしょうか。
2005年02月04日
21:44
出願が古いところにもってきて、一度以上、昔に主張してるところが結構ヤバイですね。
今回はじめてだと、どうなったか少々疑問ですが・・・。

そういえば、MSのソフトでも、あるバージョンから突然無くなった機能で明らかな仕様の不備な部分があるのは、特許の関係ですよね。
ゲイツちゃん、お金持ちなんだから、お金で解決すればいいのにと思いますが、そこが「ケチ」の基本なんでしょうか。
それとも、アドビに「死んでも売らん」と言われたかな?

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