安斎利洋の日記全体に公開

2006年01月26日
03:36
 物語
話題の「オーラの泉」を見たことがないと言っていたら、深夜に「今はじまったから見ろ」という電話。なーるほど、面白い。

基本的に霊的な力は信じないのだけれど、人間の無意識にダイブして人間の類型をとらえようとする作業は、科学的ですらある。

ただ、科学的な観察者なら「母親に依存している」とか「思いのほか自分を閉ざしている」といった言葉を連ねるであろうところで「あなたは前世、口減らしのために京劇団に売られた」という。万事そのような語り口で、分析が進んでいく。

10=2×5というように、無意識を因数に分解していくだけでは物語は現れない。10=2×7−2×2みたいな恣意的な迂路に、物語が立ち現れる。

いわば物語によって編まれる精神分析。「あなたの前世は〜」というかわりに「あなたはたとえば〜」と言い換えれば、この言説は魔力を失う。だから、本質はむしろ「粉飾」のような喩えの方に宿る。

物語という恣意的な喩えを、説明のための付加情報ではなく、本質的な体験そのものに高めるのは文学の力だ。この番組が受けているのは、たぶん僕らが物語に渇いているからだ。
 

コメント    

2006年01月26日
06:49
>この番組が受けているのは、たぶん僕らが物語に渇いているからだ。

僕が河合隼雄やパラダイムシフトで憑物を落とす京極夏彦の推理小説にかぶれたのも、物語に渇いているからだと思いました。大小の神話がすでに殺されていた世代なので、神話を語る人には弱いです。特に科学と同じ世界で存在できる神話には特に弱いです。
2006年01月26日
08:20
H.耕馬
>本質はむしろ「粉飾」のような喩えの方に宿る。
これは、エバンジェリストしかり、プロデューサーしかり、教師もきっと。。。
2006年01月26日
08:34
びすけっと
とうとうご覧になりましたか.

> 僕らが物語に渇いているからだ。

まったくそのとおりで,これを見るたびに,再現ドラマに
したら面白いのに,と思います.
2006年01月26日
09:02
中村理恵子
でも、昨日のは比較的単なる対談に近かったんでないかな。
いつもは、エハラがぐっと空に目を躍らせて
「あ、ブルーに、赤に、ちょっとシルバーね、オーラの色」
なんて役者をちゃんとやるし。

本屋に行くと、彼関連の書籍、何本もにょきにょき平積みの塔が立ってる。
すごい!。
その中に、旧知の画家;寺門孝之が装丁やった「スピリチュアル 夢百科」あったよ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4391129523/249-2664719-1378702

寺門さんは、昔から眠ってるときにみる夢について熱く語る人だったけど、江原啓之とも、巻末対談でめっちゃもりあがってた。二人とも修行時代、やたらだらだら良く眠ってたって。お金はないけど、時間だけはふんだんで。
今思えば、その頃、一番たくさん夢をみたってさ(笑)。
2006年01月26日
11:11
いろいろな人の時にどう言うかとか、そういう掛け合いのような感じが面白いです。濱口があの番組を『見ててあったかい雰囲気がある』と言ったけど、細木和子の番組と見比べると、テレビ的な演出がいかに少ないか、よくわかります。
ゲスト、ゲストで、収録時間や話しの進め方が違いそう。
10チャンネルの番組は、タモリくらぶや、ぷっすまとか、
最低限の段取りしか組まないで、ライブ感で作るものが多いように思う。
2006年01月26日
12:46
>昨日のは比較的単なる対談に近かったんでないかな。

そうでした。確かにいつもと違う雰囲気でした。
セットがバキバキ音をたてたりもなかったし、妙に普通の番組でした。
次には、ぜひ怪しいネタの時のを見てくださいまし。
2006年01月26日
13:07
安斎利洋
なんだ、まだ語るに足る情報をもってなかったか。

寺門さんと江原っていうのは、確かにありうるリンクですね。
2006年01月26日
13:22
安斎利洋
>10チャンネルの番組は、タモリくらぶや、ぷっすまとか、
>最低限の段取りしか組まないで、ライブ感で作るものが多いように思う。

昔、トゥナイトの取材で山本晋也が来たとき、雑談していると突然カメラに向かってカントクが話しはじめるんでびっくり。いつのまにかテープが回りはじめいつのまにか止まる。数時間ぶっとおしで、本番という概念がありませんでした。羽仁進がこどもを撮るとき、一日ダミーのカメラを空回ししてカメラを無化してから、次の日に撮っていたというのを思い出した。
2006年01月27日
00:30
MATANGO
>あなたは前世、口減らしのために京劇団に売られた

...広大な世界が広がりますねえ...。
この世でひとりぼっちと思ってた自分が、じつはいろんなとこにつながってたんだなあという...。

ずっと前の知りあいなんですが、女の人で、ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりだと占い師に告げられた人がいました。
その人は、旅行でパリに行ったとき、フランス革命の跡をたどろうと思っていて、誰にも道を聞かないのに、直感だけでバスチーユ監獄の跡地にたどりついたんだそうです。

...ちょっと時代が違うかも...と思ったんですが、でももとフランス人だったことは、まちがいないのかな、と思いました。

もうひとつ。
わしの年下の友人は、自分は織田信長の生まれ変わりだと固く信じていた人ですが、占い師に見てもらって、それがまちがいだったことがわかったそうです。

占い師が見抜いたそいつの前世は、大日如来...。
「それはいつの時代の人ですか?」と聞いたそうなんですが、占い師は答えてくれなかったそうです。
2006年01月27日
12:50
ローマの街は妙にデジャヴュ感が強かったです。

トレヴィの泉に地図をちゃんと見ないでゆけましたが、
もともと、広場と広場を道がつないだ街づくりになっているので、
たどりつきやすいかもしれないです。

大日如来とは、宇宙の源アートマンのようなものじゃなかったでしたっけ。。

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