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図書館の子宮全体に公開
2007年11月23日20:22
昨日のデジタルドキュメントシンポジウムは、愉快だった。情報処理学会という空気にもかかわらず、KYなパネラーが「連想と複数の淀み」「図書館のトポスと記憶術」「窓と窓の外の予兆」「データベースの子宮」てな言葉を飛び交わして、まったく収斂しない話に戯れた(最後のは飲み会だったかな)。成功という評価みたいだけれど、とりあえず謝っておきます。ごめんなさい。

申し訳なかったのは「コラボレーションで創発されるものを、企業はどう評価していくのか」といった善良で無防備で好意的な質問に対し、登壇者一同「カチッ」と音をたてて発火し、同時にマイクに手を伸ばす。「創発はそのシステムが評価できないものを生み出すことです」なんてふざけた回答も。これもまたごめんなさい。

それはともかく、二次会の最後まで濾しとるように残った、高野明彦、水谷長志、小林龍生、雨宮拓、原田康徳、中村理恵子のみなさん。世界は、自分が生きていくに値するわずかな仲間を与えてくれるものだ。

コメント

安斎利洋2007年11月23日 20:42
それから、パネルを企画した今村さん、大場さんの勇気に拍手。
らもきち2007年11月23日 22:05
『登壇者一同「カチッ」と...』は,このパネルは真剣勝負の異種格闘技戦なので,こうなるところと思います.

モデレータとしては,「すばらしい素材を提供いたしますので,これから立ち向かう問題を自分でつかんでください.解答を考える前に」というスタンスでした. 安齋さんに愉快になっていただけば,モデレータとしては,これ以上にうれしいことはありません.
私も,緊張感のある場にご一緒することができて,よい時間をすごせました.

ありがとうございます.
安斎利洋2007年11月23日 23:29
らもきちさん

率直な印象として、少数の非常にわかっている人たちを確認しつつ、多数のなにもわかっていない人たちが、いまや文化の枠組みでもあるデジタル環境をいじっているのだな、と思いました。楽しかったのはよいのだけれど、僕らももうちょっと戦略的にならないと、だめかもしれませんね。
らもきち2007年11月24日 00:42
多数の方に伝わらなかったとすれば私の責任で,個人的には,矢野りんさんとMieさんにうまくお話いただけるようにもっていけなかったと反省してます.

しかし,多数といっても,実は,無数のセグメントに分かれていて,一筋縄にはいかない.例えば,企業といっても,業種によっても職種によっても相当感覚が違うし,それに世代や個人差がのります.また,だれにでもすぐにわかるとすれば,「それは終りの始まり」かもしれません.

今回の話題は,我々の研究会としての「始まりの始まり」と思っています.最初は,がつんと一発.今回の経験を受けて,次につなげたい.
Mie2007年11月24日 00:45
安斎さん、昨日はお忙しい中、パネルにご登壇いただきありがとうございました。お陰さまで、集客目標の100名を超える参加者となり、途中退席者はほとんどいない状態でした。
パネルでは安斎さん、高野先生がキーマンとなり盛り上げていただき、感謝、感謝です。私が外しまくりまくってごめんなさい。
最後の質問?の「評価」については、企業では当たり前のことで「評価」や裏付けがないものは承認されません。特に大企業はそうでしょう。従来、儲かることが大前提だったのですが、競争激化や閉塞感を打破するために、新たなことにチャレンジできる状況になりましたが、やっぱり、幹部を説得できる何らかの説得力が必要なんですよね。それが確からしい「評価」なんです。助けたい気持ちで、「オームの法則」を持ち出しました。うまく、説得できずに空振りでした。ごめんなさい。
懇親会で安斎さんや高野先生とほとんどりお話できなかったことが心残りです。以前からお約束の日立目白クラブでフランス料理を食べながら、じっくり、お話しさせてください。

ところで、私が所属する事業所がGPSを使った「イッテミア」というスタンプラリーのサービスを半年前に立ち上げました。
http://ittemia.jp/
上記の新たなことへのチャレンジの一環で、現状ではもうけ度外視の掟破りのサービスですが、ビジネス化を視野にいれています。SANPOとコラボレーションするとおもしろい感じがするんですよね。何かアイディアありませんか?現状では映画やフジテレビとのコラボレーションが進行中です。また、「鉄ちゃん」系がはまっているようです。従来の弊社キャラとは違い、ユーザからの声をタイムリーに反映し、日々改善をしています。私から直接、開発・運営者に提案を出せる状況です。まずは、どんなものかお試しください。
安斎利洋2007年11月24日 01:01
「評価」の話は、心から真摯に答えたつもりで、つまり、創発は発生させたシステム自信が評価関数をもたない対象だから、大事なのは「評価できないものが生まれたときに耳を傾けること」だ、と言いました。創発的なイノベーションがゲリラ的に生まれる話はよくあるわけで、その玉と石を見分けることは原理的にできないんだから、変なものは殺さず、進化ゲーム的に育てるのがいい、ということです。こういうことをああいう方に、ちゃんと理解されるように、説明する力が必要ですね。

僕は「パワポ嫌い」と言っていたけれど、パワポな人に反パワポな概念をプレゼンするためには、パワポを使うしかない、ということに昨日気づいたのだ。
らもきち2007年11月24日 02:11
反パワポ概念のパワポによるプレゼン面白いです.

ずれていかもしれませんが,評価の質問は意図は,以下だったのかもしれません.

創発の評価は人が主観的にせざるおえないので,誰が評価できるから問題が始まる.そこで,「アイデアを蓄積し,そして,多数の人が評価するしくみ」のよい方法はないか?

翻訳すると,「進化ゲームの時間を早めるしくみはないか?」.

実は,カンブリアンゲームや顔合成のユーザI/Fや検索機能の質問だったのかもしれない.興味深い連画の連鎖をどうやって発見するかという.
安斎利洋2007年11月24日 02:17
なるほど。それは僕らにとってもホットな話題です。カンブリアンゲームの裏で、あの流れはいいね、というような雑談をする掲示板的スレッドがあると、あきらかにゲーム全体に影響を及ぼします。良くも悪くも。
トップダウンのシステムとボトムアップのシステムの、カップリングの問題なのかもしれませんね。
Yamahige2007年11月24日 04:41
評価ってのは、
ある順序と影響力を持つシステムとの、
偽装、欺瞞、誤解、期待、希望をはらんだカップリングのことですよね。

…ってなことを、かなり冗長にしゃべろうとしたら師匠にど突かれて…
小林龍生2007年11月24日 06:37
>パワポな人に反パワポな概念をプレゼンするためには、パワポを使うしかない
少数利用者言語をサイバースペースで生き延びさせるためには、英語によるコミュニケーション能力が不可欠だったりするわけで。

>…ってなことを、かなり冗長にしゃべろうとしたら師匠にど突かれて…
ぼくがど突いたのは、「テメーが発言しないで誰が発言するのだ」という挑発のつもりだった。ところが、Yamahigeが発言する前に、パネリストからの一斉放射が始まっていた。

>創発は発生させたシステム自身が評価関数をもたない対象
これが、創発のためのレシピ、その1。
その2は、システムの中に異なる複数の評価関数を持つこと。
その3は、プロセスを複数回繰り返しながら、時々、システムに外部からの刺激を加えること。

今回のシンポジウムが面白かったのは、創発のレシピを提示すべきシンポジウムそのものが企画段階から実施段階、評価段階(二次会)に至るまで、この創発のレシピの素晴らしい作例になっていたことだと思う。

何にせよ、あの晩、気がつくと、ぼくが乗った横須賀線の電車は、東戸塚を通り越し、戸塚に
停車していた。その後には、タクシーを待つうんざりする長い列。それでもぼくは幸せな興奮の余韻に酔いしれていたのでした。

ありがとう。
中村理恵子2007年11月24日 07:53
どもどもどもー
パネラーおよび運営側、そして破壊的に積極的な当日、オーディエンスのみなさま。

あたくしは、<友情出演>させていただいた、なかむらでございます(笑)。途中、白熱するパネラーと会場とのやりとりにすっかり安心して、密かに受けていた「途中会場なまってきたら、ゲリラお願い。」という指令をすっかり忘れて、R25(これ編集する長も、当日登壇)を読みふけっておりました。

顔ポイエーシス;かんばせ交配”まだ未ぬ創作の地平への旅”という話、そして旬な、結婚カンブリアン事業化計画予告なんつーお話を、ご清聴いただきまして、まことにありがとうございまひた。

うっかりマイク握る手離すのを忘れてしまいそうでしたが、はっとわれに返り、止めました(笑)。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます!。


中村理恵子2007年11月24日 08:42
http://ittemia.jp/
上記の新たなことへのチャレンジの一環で、現状ではもうけ度外視の掟破りのサービスですが、

ほぉおお、どんな空気なんだじゃらほい。

SANPOはさ、Mozilla24のイベント祝したもんで、
今やってる、SANPO2は、どくとくに集うカンブリアンたちの場と、時と人材とが激突して起こった;相発した愛すべきセッションっす。

イッテミアの土壌とか、開発の質や善良さはすぐ伝わってくる。
あとは,,,,,
Mie2007年11月24日 10:22
>実は,カンブリアンゲームや顔合成のユーザI/Fや検索機能の質問だったのかもしれない.興味深い連画の連鎖をどうやって発見するかという.

パネル終了後、本人と話をしたのですが、彼は「カンブリアンゲームで履歴が残るのがいい」と言っていました。つながり、カップリングの進化の過程をミクロ、マクロに評価できたらいいと思っていたのかもしれません。私は履歴が残るなら、その履歴を再利用して新たな創発が生まれ、どんどん新たなアイデアが生まれないかなぁ、カンブリアンだと多次元化されるイメージかなぁと妄想してました。

小林さんの言う、
> その3は、プロセスを複数回繰り返しながら、時々、システムに外部からの刺激を加えること。
上記に近い感じです。
Mie2007年11月24日 10:45
小林さん

>今回のシンポジウムが面白かったのは、創発のレシピを提示すべきシンポジウムそのものが企画段階から実施段階、評価段階(二次会)に至るまで、この創発のレシピの素晴らしい作例になっていたことだと思う。

う、うれしい。ありがたい。こうなるであろうとは想定してましたが、予想以上でした。企画段階では、「テーマ」の検討からスタートし、登壇者候補を選び、さらにイベント会社の人にコメントをもらったり、対象者、興味領域、登壇の専門領域などなどを定性的に分析して、登壇者を追加し、パネリストの事前打ち合わせを経て、実施に至りました。
分析にあたっては、Yamahigeさん作の下記Cross Conceptを利用しました。
http://xyndy.oops.jp/column-jp/2007/07/4_crossconcept.html

実施段階、評価段階は登壇者と会場からの小林さんやYamahigeさんなど会場からの有識者参加、今村さんのアイディアの中村さんの友情出演などなど、最高のコラボレーションができました。
みなさま、ありがとうございます。
Mie2007年11月24日 10:54
中村さん

愛すべきセッションを汚してしまったようで、ごめんなさい。

福岡伸一さんの本に刺激されて、最初のMozilla24のクリエイティブでエキサイティングなイベントと善良が交配すると、どうなるかに興味が生まれました。 どちらの遺伝子の個性が生き残るのか、はたまた、新たな遺伝子に変異するのか。
安斎利洋2007年11月24日 11:01
>パワポな人に反パワポな概念をプレゼンするためには、パワポを使うしかない
をやってみました。

--------

世界には、2種類の人間がいる
・パワポ人
・反パワポ人

--------

パワポ人は
・情報は、表現された情報であると考える
反パワポ人
・情報は、表現された情報の外にあると考える

--------

パワポ人は
・情報は世界に開いた窓だと考える
反パワポ人
・世界は窓の外の予兆にあると考える

--------

パワポ人は
・情報を検索する
反パワポ人
・情報から世界を連想する

--------

新古今和歌集仮名序
「(和歌は)力をも入れずして天地(あめつち)を動かし」

当時、反パワポ人はマジョリティーであった

現在、反パワポ人はきわめてマイノリティーである

--------
ご清聴ありがとうございました
安斎利洋2007年11月24日 11:40
>ittemia

かつて、ジャストシステムでやらせてもらった「連芸座」に、MONOというのがありました。
アルミニウムの小さいオブジェを、街のどこかに置いてきて、それを次のひとが拾って移動する。その過程をカメラにとって、報告する。
これをやっていた伊藤さんが、リバイズ版をやっています。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1841655
彼を巻き込むと、面白いかも。
らもきち2007年11月24日 13:26
パワポ人,反パワポ人面白いです.

ちょっと,ずれているんですが,パワポになると,1枚毎にブチットと話しが切れて,情報が細切れになり,奥行きや広がりを出しにくくなった気がします.

昔の大学の授業では,6枚ぐらいある黒板に,怪しげな図やきたない字がならんでいて,また,書く時間に間があいたりして,いったい何の話なんだろうと,聞き手の方で想像する余地が結構ありました.

また,パワポがあまりにきれいでわかりやすくなると,発現するはずのものが抑制されるような気がします.もう何もつけくわえることがないような気がして,と. 

もっとも,パワポはそれを狙っているのかもしれないですが.
安斎利洋2007年11月24日 18:37
>システムの中に異なる複数の評価関数を持つこと。

複数の評価関数を選択する評価関数をどうするのか、っていう無限後退の問題がありますよね。
審査員を審査員が選ぶ場合とか、大学の先生を大学の先生が選ぶ場合、システム全体がダメになる可能性がある。
小林龍生2007年11月25日 05:48
>複数の評価関数を選択する評価関数をどうするのか、っていう無限後退の問題がありますよね。
そうだね。ぢつは、ぼくも、最初に書き込んだとき、複数の評価をどう比較するればいいか、ということをちょっと考えた。
さらに、評価できないことを、どのようにして認識するのだろう、ということも考えた。

そもそも、評価関数が内部にある限り、それはシステム自体の問題なわけだ。
いきつくところ、どうも、これもゲーデル問題と同型の構造を持っていそうな気がするけれど。

評価の評価の評価の、という無限後退を工学的に押さえ込むことを考える必要があるわけで。まあ、作業仮説としての修正案は《複数の外部評価システムを持つこと》としてみようか。
さらに、システムの妥当性ではなく、創発の芽をすくい取る、という視点から見れば、そのような複数の外部評価システムの積集合ではなく、《和集合から積集合を引いたもの》すなわち、食い違った部分を尊重すること、とでも言えるかしら。
らもきち2007年11月25日 10:04
>>食い違った部分を尊重すること、とでも言えるかしら。

上記が本質と感じました。 

モデルとしては、評価関数(多目的最適化問題)よりも化学反応のようなモデルで考える方がぴったりしないでしょうか。

直感的には、違うからうまくいくというよりも、どういう違いをぶつけるかの選択(食い合わせ)が重要で、反応物、触媒、温度などあまりにいろいろなファクターがある複雑系のように思います。非線形が非常に大きく、制御は難しい系なので、だから創発できるのではないでしょうか。

評価関数で定式化しようとすると、いきつくところ、有限個の評価関数を組み合わせた複雑な一つの評価関数をもっている系と同じになるように思います。手続き的に解こうとすると、計算の順序によって答えが異なったり、収束しなかったりするような。

また、外部という概念も、それが議論に参加した瞬間に内部になってしまうように思います。
もちろん、外部の参入というは演出効果はあって、化学反応のきっかけを作ったり、温度を上げたりする重要な要因と思います。
安斎利洋2007年11月25日 12:37
たとえばP2Pでノード全体の地図を作っていて、はぐれた島を見つけることができるか。あるいは、自分が離小島であることを知ることができるか、みたいな問題ですね。

こういく砕き方をすると、情報処理学会的になってきますね。しかし結局、観測できない対象は観測できない。差異がわかる異端や創発は、協調フィルタリングにかかるけれど、差異さえ測れない対象は観測できない。

すると、小林さんの日記にある「跳躍」ですよ。キーワードは。
Yamahige2007年11月25日 15:45
自分のコメントを引き継ぐと、
評価とは、《する/拒む》ものではないでしょうか?《可能/不可能》なものではなく。
評価されるものと評価するものとの関係は、変数と関数ではなくて、対等な2つのお見合い。
リアルな世界で行われている評価とは、このような実質上の評価では、と。

評価に困るものが現れたときの間っていいですよね。ハズしたのか?かたづを呑んでいるのか?空気読めてないのはどっちだよ?みたいな。
mac2007年11月25日 16:32
パネルは白熱&爆発?していて、日頃具体的すぎる仕事をしている人にとってはいい刺激になったようです。本当に交配のデモには驚きましたし、問題を限定した時に交配的なアプローチが技術的にあると思いました(いわゆる遺伝的アルゴリズム以外でも)。

評価については最終的に人にかかわることなので、人の主観評価でもいいと思っていましたが(iPod touch とかケータイとかデザイン系の評価など)、パネルのタイトルから考えて、
・「知」とは何か?
の議論があっても良かったかなと思いました。多少は議論が具体化するか、やっぱり発散するか。。。
安斎利洋2007年11月26日 01:01
評価に可能・不可能を言うこと自体、メタ評価ですね。しようと思えば、乱数でも評価になる。ある評価をするところから価値が始まるだけだから、評価される側がその価値を受け入れれば同じシステムの一部になるし、拒んでしまえばどう評価されようが他人事。

パラダイムとは、同じ評価関数を評価する集団のことか。

>評価に困るものが現れたときの間

ややあって一人の拍手をきっかけにして拍手が沸き起こる、みたいな。
安斎利洋2007年11月26日 01:08
>問題を限定した時に交配的なアプローチが技術的にあると思いました
>(いわゆる遺伝的アルゴリズム以外でも)。

同感です。僕らの顔ポイエーシスは、それこそ評価のフィードバックがないからGAじゃないんだけれど、たんに交配を羅列するだけでもいいアプリケーションはたくさんありますね。選択そのものに楽しさがある場合は、組み合わせて整理するところまで機械がやるんで十分。
顔に限らず、あらゆる「〜ポイエーシス」を一般化するペイントシステムを作ったんですが、残念ながら仕上げてません。
https://www.ipa.go.jp/about/jigyoseika/04fy-pro/mito/2004-256d.pdf
小林龍生2007年11月26日 13:06
昔、編集者をしていたころのこと。
雑誌には、読者アンケートをつける。それで、記事の人気投票を行い、読者の反応を見る。
『少年ジャンプ』は、そのアンケート至上主義が徹底していて、ランキング下位のマンガは、どんどん切っていく。
ぼくがやっていた学習雑誌は、ちょっと違って、ランキング上位を目指す記事だけではなく、ランキングは中位でも編集部が有意義だと認めた記事も評価する、といった風潮があった。
そのようなランキングは、雑誌が発売になると、すぐに、アルバイトの学生さんが、100枚とか200枚のはがきで集計してくれる。編集部員は、その結果を見て、毎月一喜一憂する。
ぼくは、そのアンケートはがきを自分で繰るのが好きだった。別に、人気投票の集計をするのではなく、はがきの下の方にいいわけ程度にある自由記述欄を見ていくのだ。自由記述欄は、ほとんどが白紙。時々、何か書いてある。書いてあっても、そのほとんどは、ありきたりの記述。
しかし、500枚とか1000枚に一枚、何か引っかかるものがある。ランキング下位の記事にもかかわらず、熱狂的なメッセージが書いてあったり。逆に、猛烈な抗議が書いてあったり。
もちろん、そのような自由記述欄のメッセージが直接企画につながることなど、万に一つ程度もないのだけれど、アンケートはがきを読みながら、突拍子もないことを思いつき、それが企画に結びついたことが幾度となくある。
どうも、このようなアンケートの読み方は、今でもぼくの中で習い性となっているようで、例えて言えば、電車の中刷り広告を、ちょっと焦点をぼかして(デフォーカスして)眺めるとか。

創発に、跳躍が不可欠だ、という安斎さんの議論は、もちろん、よく分かる。だけど、めくらめっぽう飛ぶやつは、馬鹿だ。跳躍にも、何らかの予兆は必要なわけで、そのような予兆を捕まえるための技術というか方法論があることも確かなことだと思う。
安斎利洋2007年11月26日 14:11
たぶんこういうことだと思う。

評価関数を選ぶ評価関数を選ぶ、、、、は無限後退する。しかし、
評価関数を選ぶ他人を選ぶ、、、、は、うまくいく。

ひとつのシステムが外に拡張していくためには、ランダムな跳躍と気の長い淘汰にたよるしかない。

しかし、内通しあわないふたつのシステムが影響しあう場合、跳躍が創発に結びつく確率が高くなる。たとえば90%気が合うが10%理解不能な友人は、その10%に未知の評価空間をつれてくる。連画的なコラボレーションは、こういうカップリングだと思う。

小林さんにとってアンケートの欄外も、連画的、ってことじゃない?

>そのような予兆を捕まえるための技術というか方法論があることも確かなことだと思う。

高野さんがやっているような「よどみ」のリンクは、ひとつの方法だよね。これって、まさに編集者の仕事を機械にやらせているんじゃないかな。

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