5年前、毎日撮っていた朝飯の一部。これは約半年分だ。
人の体が新陳代謝で日々入れ替わっているのは常識だけれど、福岡伸一さんが紹介するシェーンハイマーの研究によると、生体の分子はすべて瞬く間に分解され、その欠落は新しい分子によって置き換わるので、ほんの数ヶ月で人間は分子的に別人になっているという。(脳も含めて!)
すると、生体というのは波が水面を伝播していくようなものだ。人という波頭が伝わっていく水面は食い物で、すなわちこの写真を撮り続けていたときの僕は、この食い物空間を伝播する波にすぎない。波間の泡や台風の目が消えるように、あるところで僕という分子の淀みは途絶えるだろう。
BSEの研究者である福岡さんは、生きる=食うというプロセスをここまで純化したところから考え始める。面白い。