安斎利洋の日記全体に公開

2007年07月24日
22:20
 スキャナはスペクトル盲
色紙をスキャナでとると、どうしても出ない色がある。

先日の「マチスましーん」で、「黄色が違う」という子どもがいて、それがずっと気になっていた。
実際、目で見る紙の色と、スキャナでとった色は、色の豊富さが格段に違う。

何が原因なのかあれこれ調べてみると、紙そのものの発色が蛍光である問題に気づいた。紙のベースの白さに加えて蛍光で光を出すと、色空間がかなり広くなる。

鮮やかな黄色の色紙は、LED光源の安いスキャナだとほとんど橙色になってしまう(左下のチップ)↓
写真

CCDセンサ+蛍光ランプなら、一応黄色にはなる。それでも、直に見るのとはかなり違う↓
写真

スキャナは、基本的に光源の狭い波長とセンサーの波長が向かい合っているから、いろいろな波長を含んだ光源に反応する色材の豊かさには対応できないのだ。同じ素材をデジカメで撮ると、黄色もそこそこ出る。光源にスペクトルが多いぶんだけ、有利なのだろう。

スキャナはあらかじめ三原色に離散化された印刷物をとることが多いので、こういう問題はなかなか話題にのぼらない。

アンリ・マティスは水彩紙にグァッシュで色を塗って、それを切っていたとか。「マチスましーん」も、スキャナにとりやすい紙作りからはじめるべきかな。
 

コメント    

2007年07月25日
00:35
びすけっと
なるほど,かなり違うんですね.

そういえば,「マチスましーん」ってスキャナが命ですもね.
2007年07月25日
00:38
godzi2
はい、合同会社スペクトルですが、何か?
2007年07月25日
01:44
安斎利洋
>スキャナが命ですもね.

必ずここを通る、ネックですね。

絵の具や染色したものに比べると、印刷物やフィルムはスキャナにとっては安易な対象で、うまくとれてあたりまえなんですね。
ぜひ、岩絵の具で描いた作品を、スキャナでとってみてください。
2007年07月25日
01:47
安斎利洋
>合同会社スペクトルですが、何か?

虹色おやじ連盟、って感じ?
2007年07月25日
02:01
godzi2
ところが若い人のほうが多いのだよ。
28歳、30歳、そしておれ!
2007年07月25日
06:53
中村理恵子
>スキャナにとりやすい紙作りからはじめるべきかな。

はやり、自然光という圧倒的にすべてを暴く、人を正常なポジションにキャリブレーションしてくれる、これをスキャナにも求めちゃどうですかね?

2007年07月25日
09:36
kazu
>「黄色が違う」という子どもがいて、

凄い子供だね、
だって、この子のこだわりがきっかけで、
安斎さんはずっと、考え続ける事になったわけですから。

私なんか初めからスキャナを通すと色は変わると思い込んでいるから、そこからは何も発展しないのですが。
2007年07月25日
11:38
osamu
>「黄色が違う」という子ども

とっても大切な黄色だったんだろうなぁ・・・
2007年07月25日
20:57
にしの
スキャナ対応色見本帳。
出版は早いものがちです。
2007年07月25日
22:39
安斎利洋
>私なんか初めからスキャナを通すと色は変わると思い込んでいるから

子どもに「プロジェクタの色はちょっと違うけど、きみの作品はちゃんとネットにあがっているから」と弁解するのは、ちょっと苦しかった。

>とっても大切な黄色だったんだろうなぁ・・・

何を大事にしているか、というのは、想像を絶します。そこが面白いところですね。

>スキャナ対応色見本帳。

スペクトラムがデータ化されている色見本帳、というのがあったら、本当にほしいな。
2007年07月25日
22:41
安斎利洋
いらないCDの板を使った、手作り分光器!
http://www.sunfield.ne.jp/~oshima/omosiro/spec.html

 安斎利洋mixi日記 一覧へ