季里ちゃんをまじえて久しぶりに飲んで、パンツを穿かないことについて話が沸騰した。

季里ちゃんがこの話題とどう実践的に関係しているかについては、紳士淑女協定で内緒だけれど、僕は１５年くらい前の一時期、パンツを穿いていなかった。ズボンを洗えばとりわけ必要ないし、穿かなくなると、穿かないではいられないのが刷り込みにすぎないことがわかる。

あるとき、柔道衣のようなY'sの裏地つき綿パンツを穿いたら心地よくて、だったら裏地を分離して穿いてもいいんじゃないか、と気づいた。それはつまり、トランクスと同じことだ。そして再び、パンツを穿くようになった。

あらかじめ穿いているパンツは、無批判な習慣に過ぎないが、いったんやめてから穿くようになったパンツは、自覚的発明だ。パンツ問題は、だからパラダイム問題でもある。あらゆる習慣は、問題に対する効力と同時に、他の問題への隠蔽力をあわせもち、それはいったん脱いでみないと理解できない。

テレビで月尾嘉男先生が、これからは気象災害が大きくなる一方だから、崖をコンクリートで塗り固めるような考え方はやめて、危ないところから逃げ回る遊牧型の価値観に転換すべきだ、と言っていた。多くのパンツ人が「何言ってるんだ」と思ったに違いないが、僕は目からうろこではなく、腰からパンツが落ちる思いがした。