安斎利洋の日記
2007年03月03日
02:57
鈍感力
赤瀬川源平の『老人力』以来、ネガティブだと思われている価値に「力」をつけるのが流行っている。「忘却力」は初歩の応用で、忘れる力は大事だよという話。『欝力』なんていう本もある。欝をバネにして、なにか作った人々の話らしい。
そのほか、書名からそれらしきものを選ぶだけでも『妄想力』『盗み力』『号泣力』『老楽力』『借金力』『孤独力』『小食の力』『不安の力』『盲点力』など、無数にある。
いままでの後側が前側になる、ということは自分が含まれる座標系をぐるりと回転させましょうということだ。つまり「老人力」には、世界観を回転させようというきわめて若々しいメッセージが含まれている。
渡辺淳一の『鈍感力』も、読んでないけれどきっと同じ思考メソッドなんだと思うが、元首相が現首相に、もちっと鈍感力をつけたほうがいいよ、という使い方をされて、この造語はいっきに株価を下げた。もともとパラドックスだったのに、鈍感な人たちが鈍感力を言い出すと、ただの「居直り力」になってしまう。
「無印良品」も「ブランド力」に対する「無ブランド力」というわけだから、実は同じ発想なんだけれど、半分くらいは居直り商品。老人力も、ホンモノの老人力は数%で、ほとんどは「目に余る老人力」。
残念力で立ち向かうしかない。
コメント
2007年03月03日
04:05
osamu
「力」が「カ」に見えて最近困ってます・・・
2007年03月03日
04:08
安斎利洋
ばかぢから、ってのが困るね。バカ力。
2007年03月03日
04:20
machiko
鈍感力を駆使する人たちに取り囲まれたら・・・・?
その人も鈍感力で対抗するのでは。
そうやって、マルコヴィッチの穴みたいに、同じ顔をした人が増殖。
2007年03月03日
04:22
中村理恵子
>「力」が「カ」に見えて最近困ってます・・・
あははっは。
バカか。
鈍感か。
って読めるってことね。
それって、超残念力?
いへいへ、ただ、残念か。
2007年03月03日
04:30
osamu
>同じ顔をした人が増殖
そうか。。。熱死状態になるわけですね・・・
2007年03月03日
04:33
遼 遠 ☆
念力が残っている感じですかね
2007年03月03日
04:45
安斎利洋
鈍感力の本当の意味は、たぶん焼きなましですね。
昔、銅版画をやってたときに、刃物は自分で作っていたんで、焼き鈍しの難しさは体感で知りました。鈍すぎれば切れないし、なまし足りないと刃がこぼれる。
元首相の「鈍感力」は、焼き入れできない軟鉄みたいな話だ。
2007年03月03日
07:18
TODO
エアロビクスをやっていた頃、苦手だったのが180度回って同じ動作をしたりすること。それが45度だったり15度だったりするともういけない。立ち位置と動作が狂う。
瞬時に対応できる人と全く出来ない自分がいて(概して年かさは駄目)結局居直る。皆が回っても回らない。皆が横向いても動かない。ただぶつからないように距離だけ合わせる。
さすがにその人気インストラクターの時間にはでなくなったが鈍感と思われていたろうなぁ。
2007年03月03日
08:31
びすけっと
盲点力ってなんか変だなと思ったら,盲点に気づく力ですって.
http://
www.sh
inkosh
a-jp.c
om/det
ail/4-
86081-
040-6.
html
普通のことを今風に言っただけで,しかも使い方を間違えている例です.
鈍感力も
http://
watana
be-jun
ichi.n
et/arc
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2007/0
2/post
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ml
を読む限りは,そんなに深い話でもないですね.おおらかに
生きろって言っているだけのように思えます.
老人力は今まで誰も目をつけていなかったことに着目
した点が画期的でしたが,それを真似た「××力」たちは
今までも色々といわれてきたことに,ネガティブな印象の
言葉を使って,別の言い方をしているだけなのではないで
しょうか(仮説).他の「力」は見てません.
2007年03月03日
11:01
小林千早都
細かいことにいちいち気を遣って本論を忘れては困るよ、
もっとおおらかにどっしり構えなさいよ・・・って
小泉さんは言いたかったのでしょうね。
で、渡りに船のつもりの「鈍感力」。
ところが・・・ってところから、
安斎さんのお話が始まっているのですね。
逆転の発想も、やりすぎると辛いかな、やっぱり(-_-;)
2007年03月03日
12:37
にしの
この記事↓の最後を読むと、渡辺さんの主旨は、
http://
www.ni
kkansp
orts.c
om/gen
eral/p
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0-2007
0223-1
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html
おおらかに生きるというだけでなく、
本来の目的に先鋭になるために、
それ以外の些事には感度を下げようということのようです。
まさに焼きなまし。
だから、全方位に感度が低い人には合わないのかなと。
2007年03月03日
13:53
安斎利洋
>盲点に気づく力ですって.
>しかも使い方を間違えている例です.
盲点力は、まぶしいものを盲点に入れて、前に進むテクニックですよね。
こうやって、やり方を曲げて自分の言いたいことを言うのは、誤解力か。
2007年03月03日
14:27
安斎利洋
>それが45度だったり15度だったりするともういけない。
これは、道に迷う人とそうでない人の違いにも関係ありそう。
空間のローテーションを、どう翻訳するか。訓練できるのかな。
2007年03月03日
14:29
安斎利洋
>本来の目的に先鋭になるために、
>それ以外の些事には感度を下げようということのようです
つまり、これは「捨てる技術」ですね。
でも、何を捨てるかが問題なんですよね。
自分に関係のなさそうなものは、むしろ捨てないほうがいい。
2007年03月03日
14:45
にしの
>関係のなさそうなものは、むしろ捨てない
同感です。おかげで小さな私は関係なさそうなものが多すぎて、捨てられないものに埋まっております。
御美力?
2007年03月03日
14:48
安斎利洋
魔窟力?
でも、たまに大事なものをなくすのも、大事ですね。紛失力。
2007年03月03日
14:58
安斎利洋
>マルコヴィッチの穴みたいに、同じ顔をした人が増殖。
>熱死状態になるわけですね・・・
>念力が残っている感じですかね
この、いわば伝染性鈍感力の熱死的飽和状態、なにかを思い出そうとしていたんだけれど、思い出した。
近所のファミレスにときどきできる、若いお母さんの巨大集団だ。
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