安斎利洋の日記全体に公開

2004年11月14日
18:43
 カンブリアン、ケータイ、SNSの日
昨日、メルプロジェクト公開研究会@東大でカンブリアンゲーム、ケータイ、SNSについて話をした。mixiを例示しながら話していたら、コメンテーターとして来ていた中央大学の松田美佐さんがmixi市民だとわかって、その場でリクエストを飛ばす。なんだか意に反して、布教活動かマルチ商法の勧誘みたいで苦笑。

実際は、SNで起こっていることを異化する作業を通して、ケータイによるコラボレーション空間を作っていくという話。以下、断片的なダイジェスト。

・ネットワークをグラフ構造としてでなく、皮膜・境界・座のモデルで考える。
・SNにはBlogより明確な座がある。厳しい座を作ることも、閉鎖的で温い座を作ることもできる。
・ケータイの座は固定的だが、SNの座は創発的。
・SNは、テーマも創発的。既定のテーマに人が集まるのではなく、日常のノイズの中からテーマが浮上する。SNには発振ぎみの循環がある。
・ケータイ端末は、単音楽器。バッハの無伴奏チェロ組曲のように、脳の補完能力をたよりに、多声的なテキストを読む装置になる。
・webは、同一情報が頻出するパクリの樹である。SNは、知識を検証し、差異を作り出す装置になるよう設計することが可能である。
・ケータイは、通信機能から考えられがちだが、現在は「写真つきテキスト」のドキュメントプロセッサとしての意義が大。これをリーフと名づけた文書の様式ととらえる。
・カンブリアンからジュラシックへ。そのために、カンブリアン空間のリーフに浮力をつける。上方に現在生きているスレッドの入り口があり、下方に化石化したリーフが沈む。
・カンブリアンの爆発はハレ。ジュラシックの継続燃焼はケ。ハレは飽きることに積極的な意味がある。
・日記は現在。継続中の議論もどんどん過去になる。琥珀に封じ込められた知識を、リマインドする仕組みを作りたい。
・個人のためのカンブリアン・ブログ(井の中)を作る。ケータイから更新可能にする。
・これをシンジケートしたカンブリアンの海(大海)を作る。
 

コメント    

2004年11月15日
12:49
テツタロウ
琥珀に閉じ込めた知識。ライブだったときのダイナミックさを瞬間冷凍して保存する。お腹がすいたときに冷凍庫から取り出して解凍して食べる。

そういえば、冷凍食品の「ヒット」発想で「シューマイ」があった。食べたい分だけ、取り出してレンジアップすれば、余分なものを一緒に解凍しなくていい。一度解凍された冷凍食品は品質が保障されないから・・・

お腹すいた時の「必要な分(最小単位)」をライブの時点で定義しておかないといけない。「未来における必要な知識」を、今、どうやって定義するか・・・

2004年11月15日
21:37
みゆき
とってもむつかしい。
人間のアタマはすでに大海だと思うなあ。

それがウマく繋がると、実質には運がいいとか
人生ウマく行ってるとなるような。

実際意識していくという作業を丹念にするときっちり洩れなく
未来がつながり効率よくいくはずではあるけれど、それが、素晴らしいアートを生み出すかというと、どうなのかあ、。

意識外の意識をもちだすためには、はずれてこぼれたのを、外れた意識で掬いとるではないかなあ、と思ってます。
そのために無意味に思える事をしてしまうんでは。

はい、、。ぜんぜん、違う事をいってるかもです。
失礼しました。

まず、携帯がつかいこなせん!
2004年11月15日
22:42
安斎利洋
関連日記
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=3575457

コミュニケーションから生まれたハイパーテキストを、どうやって保存し、もう一度解凍し、再利用するのか、という問題。たとえば、mixiの編み物ように絡み合ったコミュニケーションを、どうとっておくのか、どう参照可能な知識にするのか。

これって、絡まったスパゲティを冷凍保存して、一口分だけ解凍して食べよう、みたいな話ですね。せめて、切り離されたシュウマイにしたい。

小林秀雄の評論がすごいのは、モーツァルトを聞いていない人も、ヴァレリーを読んでいない人も、その鑑賞体験を評論の中から追体験できるところだ、ということを書いている人がいました。つまり、外側を参照していて、それがミッシングリンクになってしまっても、本質が変らないテキストだということ。
けっこう僕にとっては、大きなヒントです。
2004年11月15日
22:47
安斎利洋
「みゆきさんの日記」のページに行くと、みゆきさんの空気がありますね。ソーシャルネットモデルが面白いのは、その人のおうち独特の、においとか光があることだと思う。

みゆきさんの本物のおうちは、やはり墨の匂いでしょうか。
2004年11月19日
21:20
はじめまして、
日記の中での対話や、日記を見たことで何らかのインスピレーションを
得て、自分の日記を書き、それをまた誰かが見て・・・といった情報の
伝導を、いかに視覚化できるか、ということに関心があったので、
この日記での議論は、とても刺激的でした。

フィールドの中で環境と人との相関性から生まれる情報を、より
ダイレクトに情報創発の場に反映させることや、それらを見た
誰かがまた別の形でフィードバックさせるにも関心があるので、
携帯やマッピングシステムを使ったSNSを開発することに
面白い可能性があるとも考えています。

いきなり失礼しました、面白かったもので(^^;
2004年11月19日
21:46
安斎利洋
ウィリンさん、はじめまして。大雑把な断片から、いろいろ読み取っていただいて、ありがとうございます。かなり近い共振周波数を、こちらも感じました。

カンブリアンをケータイに対応させるプロジェクトは、来年度に半ば公開で、議論しながら進めていこうと考えています。可能であれば、知恵やお力をお貸しください。
2004年11月20日
13:26
面白そうですね!知恵という程のものも
ありませんが、お邪魔でなければ
是非参加させてください。すごく楽しみ!
2004年11月25日
01:12
baso
>・ネットワークをグラフ構造としてでなく、皮膜・境界・座のモデルで考える。

という一文に感動しました。
(このレス列を読みたいので。書き込みしました。m(__)m )
2004年11月25日
01:41
安斎利洋
basoさん
>という一文に感動しました

ありがとうございます。

いっしょにプロジェクトを進めようとしている東大情報学環のチームが、今週末に北欧でモバイルに関する発表をする予定で、僕らのやろうとしていることも紹介してくれるそうです。「座のモデル」など、翻訳困難だと嘆いていました。

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