安斎利洋の日記全体に公開

2007年01月09日
03:50
 【誰か教えて】消えるKate Mossの正体は
昨年のAlexander McQueenのショーで、虚像のケイト・モスが舞う映像。

http://www.youtube.com/watch?v=hTS7PdkAwfc
http://www.youtube.com/watch?v=jIcsYBZSQ48

これって動画ホログラフィなのだろうか。

公式ビデオクリップ
http://www.alexandermcqueen.com/flash.html
 

コメント    

2007年01月09日
04:01
klon
これ素晴らしいですよね。ショーを更新したというか。偶然僕もさっき自分のオフィシャルの日記でupしました。
2007年01月09日
04:18
中村理恵子
ああ、すごいなー。
フローラが現れたようだ。
よくこれだけドラマチックに、
予定通りにシステム動いたなって思うよ。
試みでは済まされない、「調整中」が許されない。
さすがにファッション業界は厳しい。
すごいなー。
2007年01月09日
04:57
安斎利洋
女は身体じゃなくてアウラですね。シースルーの体を着ている、みたいな感じ。
しかも、ボッティチェリやダヴィンチコードを連想させて、野暮な計算もしっかりやってる。こんなの使って宗教を興したら、すごいだろうね。
それにしても、誰か技術解説してくれないかなー。
2007年01月09日
05:42
yukio.andoh
Alexander McQueen の奴は、
Holo FX 社のホログラフィです。
http://www.holofx.com/

技術的というよりも、演出が素晴らしい!
技術解説はまた今度.....
2007年01月09日
07:53
Mike
ホログラフィーそのものは、ごくふつうのものと思えますが、音楽と映像の中の人物の動きが素晴らしいですね。表示する場所を移動させているのは、ちょっとした工夫でしょうか。
2007年01月09日
09:41
あおいきく
萩尾望都の「バルバラ異界」で、眠り続ける美少女の幻影がビルの屋上に現われ、火星の記憶を語って消えていくシーンがありますが、そうか、実写(?)にしたらこんな感じかもしれません。
2007年01月09日
10:22
中村理恵子
>技術的というよりも、演出が素晴らしい!

もちろんそうなんですよ。
しかし、技術の人もへんな境界線や限界の狭間におびえなかったんだろうし、演出のひとも、古いメディアや技法に逃げ込まなかったんだろうとおもうんです。

きっちりこの舞台で、ばっちりこの時間に稼動させたんだから、その接点の温度を上げながらも荒唐無稽なん腰砕けしないでぐぐっと技をみせつけたってところに、ぐっとくるざんす。
これの制作チーム?、ひょっとして両方に通じた個人か?
いずれにしてもすごいね。
2007年01月09日
11:19
たかつ
美しすぎて、ぶるるとしました。
良い情報を教えていただいてありがとうございました。
ショーに使われた物とは別物かもしれませんが…

http://3dscreen.ramboll.dk/
2007年01月09日
13:54
安斎利洋
>技術解説はまた今度.....

andohさんが釣れた!

>ごくふつうのものと思えますが、

そうなんですか。認識不足でした。360度の実写動画を画像処理なんて、ちょっと前にはえらいことでした。

>美少女の幻影

少女というのはホログラム的なんですね、きっと。

>これの制作チーム?、ひょっとして両方に通じた個人か?

どうしても、誰が作っているのか気になってるみたいね。

>ショーに使われた物とは別物かもしれませんが…

情報サンキュウ。この会社も、デモに少女を使えばいいのにね。
2007年01月09日
13:59
安斎利洋
andohさん

これは背景に透けている現実の景色に対して、光を加算しているだけなんでしょうか。
光を遮断してアルファ合成したような不透明を感じるのは、錯覚か。

いま気づいたんだけれど、もしかしてこれ、右目と左目と、別の時間を見せられているのかな?
2007年01月09日
13:59
安斎利洋
>音楽と映像の中の人物の動きが

シンドラーのリストのテーマは、あの映画には不当な音楽だとずっと思っていたんだけれど、むしろこの使われ方が正解だ。
2007年01月09日
16:11
デジタル化されていても、大元の原理はフーディニーなのでしょうね。
イギリス的な感じがする。嵐が丘とか。
2007年01月09日
17:41
ikeg
私も知りませんでしたが、3Dホログラフィーこんな実用がなされてるとは。衣装もバーチャルにしか生成しないようになるのか。昔脳のモデルはホログラフィーだといってた研究があったが、小人問題をのぞいてその辺どうなんでしょう。
2007年01月09日
19:47
安斎利洋
>脳のモデルはホログラフィーだといってた研究

それは面白いですね。ホログラフィーを概念装置にするのは、面白いと思います。可能世界が畳まれた膜があり、見え方の視差によって、世界が立体として立ち上がってくる。そんなイメージでしょうか。
2007年01月09日
20:35
klon
演出といっても音楽だけはひどいと思いますが。
異化が足りないというか、どうしてもファッションは音楽弱いんですね。記号性に弱いというか美を異化することに対する恐れが強いというか。
というわけで1/30にパリコレの音楽やることになったので頑張ってみます。
2007年01月09日
20:52
ikeg
klonさん> パリコレですか? そいつはすごいですね。立体音響のfashion showはいいね。
2007年01月09日
22:54
安斎利洋
>1/30にパリコレの音楽やることになったので

おおお、それはいい。
デザイナーは誰ですか。
2007年01月09日
23:28
klon
>ikegさん、安斎さん
MIHARA YSUHIROさんがミラノからパリに変わったのでやることになったのです。ミラノはビジネス寄り、パリはアート寄りという区分けです。僕は忙しくて同行できないのでCD渡すだけですが、立体音響のショーはそのうち出来る気がしますね。
パリコレは二度目ですが実際は結構文化祭っぽいです笑
2007年01月10日
12:07
eiko
すばらしい。ホログラムも、この日記でのやりとりも。
2007年01月10日
13:52
H.耕馬
出遅れましたが、映像は凄いね。ヽ(^.^)丿

指示されたWebによると、映写装置自体は大した事なさそうです。それよりも撮影が面倒そう。3Dで立ち上げるんだと、10方向以上位から同時に画像を残さないとならないし。

以下、
http://3dscreen.ramboll.dk/pdf/Article_Cheoptics_moving_boundaries_back_final_uk.pdf
の機械翻訳
テクノロジーは、どのようにCheoptics360.を動かすか
製造される4面ピラミッドは、聴衆があらゆる側からそれを透かして見ることができるように、透明な材料である。
ピラミッド室内で、聴衆は自由にテレビ画像とコンピュータ・グラフィックスを浮かせているようである物を見ることができる。
これは、外観に映すことと感想を通してされる。
固いイメージに4つのビデオ映写から光を集める一種のプリズムとして、ピラミッドが使われる。まるで物がスペースにおいて実際に存在したように、“Weは単に現実の3つの次元の感覚を引き起こすために身体のスペースを使う。今後は、このテクニック身体のスペースを使うことは3D深さをつくる、”Peter Simonsenは言う。

How the technology works Cheoptics360.
is a four-sided pyramid manufactured of transparent material so the audience can see through it from every side.
Inside the pyramid chamber the audience can see objects that seem to be freely floating video images and computer graphics.
This is done through surface mirroring and reflections.
The pyramid itself is used as a kind of prism that assembles light from four video projections into a solid image.
2007年01月10日
14:10
H.耕馬
ゴメン、こっちだ。

How 3D Technologies Work
Human 3D perception is a by-product of binocular vision.
Each eye sees a slightly different parallax view and the brain fuses the two images together to perceive one single image with depth.
A 3D projection system, then, must provide two different 2D images showing the proper parallax to each eye.
The wearing of special eyeglasses is one common way to achieve this, as in the 3D View-Master or the red and blue images projected in a movie theater.
The HOLO FX PS3D?
method does not require any such special hardware.
The 3D video images are created using standard filming technology but the video file is then subjected to a post-production automated file conversion process to transform the video into a 3D projection-ready format (the .hfx file format).
HOLO FX Delivery Systems
The HOLO FX Content Management System then delivers the .hfx files to the display system’s local hard drive via an Internet connection, The HOLO FX Media Player reads the .hfx file format and properly displays the advertising video in full-motion 3D.
Finally, the HOLO FX display systems use patented Holographic Optical Element (HOE) array technology and an integrated rear projection system to show the 3D advertisements with eye-catching brightness, clarity in a 160 degree field of view.
The HOLO FX display screens utilize a patented film that can be applied to any transparent surface.
The use of stable polycarbonate plastic adhesive allows production of display systems that are shatterproof, unbreakable, or scratch resistant depending on the application.

とすると、とっても大きなフィルムにスリット状に動画を焼き込んで両眼視差を作ったのでしょうか?
ウ〜知りたい。。。
2007年01月10日
14:18
レンチキュラの3Dのようにして上映するのでしょうかね。
2007年01月10日
14:38
安斎利洋
>The 3D video images are created using standard filming technology

この部分からの推察ですが、このシステムの映像ソースは普通のビデオ画像で、視差と時間差を重ねてるんじゃないかな。つまり、中で被写体が回ってないと立体視にならない。
2007年01月10日
15:01
>つまり、中で被写体が回ってないと立体視にならない。
なるほどー。。
2007年01月10日
15:03
それって、被写体を回さなくても、
映像の粒子を立体的に回せばいいということ?
2007年01月10日
15:26
H.耕馬
回って無くとも良いケド、動いてないとダメかも知れない。

通常の3Dホロだったら、連続した動画を撮影したフィルムを、1枚ずつのフィルムを縦にナガ〜ク伸ばしたスリットで1枚のフィルムに焼きこむんです。それで円筒形にしたフィルムを回転させます。すると、右目で見ている画像と、左目で見ている画像が異なるので、時差と視差を同時に感じて立体動画になるという寸法です。

これをどうやってプロジェクションするのかがわかんない。
2007年01月10日
15:40
安斎利洋
>通常の3Dホロ

つまり「なんちゃってホロ」が通常だってことですか。
全周×時間 ぶんの情報量はもともとない、と。
2007年01月10日
15:41
安斎利洋
>これをどうやってプロジェクションするのかがわかんない。

ここは依然として謎です。
2007年01月10日
16:01
中村理恵子
>ここは依然として謎です。

やっぱすごいんじゃん。
2007年01月10日
16:38
H.耕馬
>全周×時間 ぶんの情報量はもともとない、と。

プロジェクションをしなくて良い&ホロじゃなくとも良いならば、こんなのもあります。
http://www.siggraph.org/s2005/main.php?f=conference&p=etech&s=etech8
http://www.tanimoto.nuee.nagoya-u.ac.jp/~tanilab/yendo/Seelinder/
2007年01月10日
20:15
miyako/玉簾
うわー、不思議な光景。生で見てみたいです。
2007年01月11日
02:05
安斎利洋
技術よりいかにコンテンツが重要か、ということを改めて考えさせられますね。

耕馬さんのもってきた「円筒形立体ディスプレイ」も、すっげーオーラのある人が閉じ込められてたら、まったく別のシステムを印象づけたろうに。

昔「メガデモ」って、ありましたよね。ハードウェアの制約をいかにごまかして、何倍もすごいパソコンに見せるかを競った。制約がいびつな多角形だとして、そこに内接する形を作るのは簡単だけれど、外接する形をどう作るかが問題。

でも、僕はあのピラミッドを「ホログラフィー」に分類するのは抵抗あるなー。だって、観測点によって違う体験をするわけじゃないんですよね。どこから見ても同じ画面を、見ている場所によってガラスの違う場所に見せる技術ですよね、要するに。

まっとうな動画ホログラムの現在は、まだまだこのあたり。これも、けっこうすごい。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060207/pr20060207.html

仔細は、安藤さんが帰国したら(いまベガス?)教えてもらいましょう。
2007年01月11日
08:35
中村理恵子
>どこから見ても同じ画面を、見ている場所によってガラスの違う場所に見せる技術ですよね、要するに。

この、舞台上の対象を、誰でも等しく正面やベストな角度からみられるとうテレビ的な視点が、今回の場合は、かえって大成功なのでは?だって、座席を移って回りこんでケイト・モスの後頭部や、斜め横顔なんてのが見えることが技術的な正解、正当だったとしても、それが達成されてたとすれば、「ほぉ。できてんじゃん。」とおもうだけ?。

この場合は、あえて騙されたいと思ったのね。
印象的な登場シーンからわざわざ、ケイト・モスをくるくる回転させてみせちゃう。解体してこのように考えると平凡というか平易な解決策で逃げるあたりますますテレビ的だけどさ。
たしかに正々堂々と、真新しい革新的な何かではないらしい(安藤さん情報待ち?)。

まるでテニスラケットのスゥートスポットを広めにとりたいがためにガットをわざとにゆるく張ったようにも感じる。
いずれにしても真芯で球とらえて最適ムダなのないコースを描いて相手のコートにストンとおとすぞという作戦は、成功したんだよね。
唐突だけどさ(あ、いつもか・笑)、
港千尋曰く「アートとでもエンジニアリングでもサイエンスでもない。それらのすべてを組み合わせながら、トライ・アンド・エラーを繰り返し、目的に一歩一歩接近する方法。異分野を横断しながら試行錯誤によって目的を達成する。これをブリコラージュという。」(異文化は面白い/講談社メチエ)

このケイト・モスのホログラフィ(もどき??)も、最初まさに「おおおおおおおおお!ブリコラージュ!!」と胸が熱くなった。
検証すると明らかにこの精神の元にあるところと、おおいなる錯覚である部分まぜまぜだと思うけどさ、しかしながらおおいに励まされたことは、確かだよね。
2007年01月11日
08:59
H.耕馬
>まっとうな動画ホログラムの現在は、まだまだこのあたり。

これは、SIGGRAPH2006の会場で見た。
空中放電のした時のような、すごい(イオンの?)ニオイと、バチバチいう音がなかなか感動的(?)です。
2007年01月11日
19:59
安斎利洋
>これをブリコラージュという。」(異文化は面白い/講談社メチエ)

ブリコラージュといえば、ケイト・モスの顔って、神様のブリコラージュなんじゃないの。美形と異形の境界。ああいうきわどい顔はいいな。
だから、エビちゃんの顔は嫌い。

>すごい(イオンの?)ニオイと

技術者はそのニオイをなんとか消そうとするわけですが、逆にブリコラージュ系は、そのニオイから発想を組み立てようとするでしょうね。この空中ホロって、霧箱を思い出す。
2007年01月15日
17:58
yukio.andoh
安藤です。ラスベガス (CES 2007) から帰ってきました。

3D Kate Moss は HOLO FX 社の AURA という技術(製品)で、
ポイントはスクリーンにあります。

YouTube の映像を良くみると、Kate Moss の周辺が
ピラミッド状の枠組みに囲まれているのが解ると思います。
このピラミッドの各面にスクリーンが張られていて、
右目用と左目用とスクリーンの回折格子をすり抜けた違う映像が
目に入るようになっています。

仕組み的にキレイに見えるホットスポットが限られますが、
ファッションショーの場合、観客の席を細かいところまで
コントロール下に置けるので
比較的良好な結果が得られたのでしょう。

あと、公式ビデオクリップの方は、
ショーで立体視表示されたそのものでは無く、
Web 用に別途作成されたものです。
(床面反射つきのホロ用の元素材)
http://www.alexandermcqueen.com/flash.html

Web の美しさでだいぶ勘違いしてしまうのです。
2007年01月17日
00:27
安斎利洋
安藤さん、お忙しいところ解説ありがとう。ってことは、ピラミッドのまわりを歩いてぐるっと回ると、まったく実在感はなくなっちゃうんでしょうね。
技術的にはまだまだ、と思われているものこそ、研ぎ出すチャンスなんでしょうね。

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