安斎利洋の日記全体に公開

2006年12月04日
17:33
 近未来通信
「全国紙にデカデカと近未来通信の基地局オーナー募集広告」を載せていた新聞社は、「結果的に詐欺の片棒を担ぐことになった広告費」を「被害者救済に充てる」べきだ、というのりさんの意見に賛成したい。

メディアが結果的に犯罪の広告をしてしまった場合は、メディアは自主的に広告収益を被害者救済にあてる、という不文律があってもいい。すると消費者金融のCMも、リスクが高いから減るんじゃないかな。

資本主義が徳(virtue)を備えるための、ダーウィン的な再認の回路になると思う。
 

コメント    

2006年12月04日
18:12
H.耕馬
そんな善人は、どこにおわすのでございませうか?
2006年12月04日
18:55
TODO
近未來通信は詐欺がほぼ確定的ですが、詐欺まがいだと新聞ばかりかTV通販も含めて軒並みではないでしょうか。

水道水は体に毒だ!と誰かがいいはじめた時とミネラルウォーターが売れ出したのはほぼ同じだし。

においを消すと言って部屋中に薬品をばらまくTVCMもあるし。

薬害シンポジウムで英国の学者が欧米の薬害も深刻だと。大手製薬会社が新たに病気を作りだしているとまで言っている。

いかに防衛せんとしても波状攻撃の前にはつらいかも。まして、儲け話はいけません。
2006年12月04日
19:15
安斎利洋
これを制度化しようなんてことになると、敷居の問題がむずかしいし、そもそも報道は法律よりも上位に善悪の基準をもつべきだから、ダメだと思うんですけど。
むしろ問題は、広告は編集とは別の論理で動いているのに、タイアップは密だし、広告主に遠慮した編集があたりまえになっているメディアの体質ですね。
2006年12月04日
19:24
逆襲のタコラ
近未来ビデオフォンのCMですら・・・誰が買って加入するの?って思うぐらいマーケティングの成り立たないビジネスだと思っていたんですが。テレビ局も広告代理店も金にさえなればだと思うんですよね。彼らのモラルって・・・
2006年12月04日
19:44
安斎利洋
もっとも、そういうガセ広告がたまに混入したほうが、大メディアに載ってることはみんな正しいと思ってしまう免疫のない人たちを減らすことにはなるんだろうな。
2006年12月04日
20:15
まいける
テレビスポットについては、慎重だったようで。
東北地方のローカル局ぐらいしか、テレビスポットが出来なかったようです。

そう考えるとテレビの広告審査って、意外としっかりしていたのかも。

その割りにローカル局は、サラ金とパチンコ屋以外のCMが少ない。
2006年12月04日
20:22
安斎利洋
新聞は、広告と非広告の塗り分けがはっきりしているから、かえって広告には甘いのかもしれませんね。テレビは、どこまでがタイアップかよくわからない。
そういえば「サラ金」って言葉、最近聞きませんね。これも広告の圧力か。
2006年12月04日
21:04
TODO
>そういえば「サラ金」って言葉、最近聞きませんね。

そうですね。業界団体がイメージが悪いので使わないでくれと言っているらしい。ふざけた話ではある。消費者金融なんだそうで。なら、ショウキンなんて言いますか。
2006年12月04日
21:44
まいける
「サラ金」って、サラリーマン対象の定期的な収入があることを前提としたことで貸し出す金融だったはずなんですが。
「消費者金融」ということで、誰でも貸し出せるようになったような気がします。

ちなみに近未来通信のビジネスモデルの原型は、10年前のプロバイダービジネスと、デジタルホンの通話料からインセンティブが出る携帯電話の代理店システムだったとか。
すでにあったビジネスのしくみを利用しているから、多くの人が信用したんでしょうね。
2006年12月04日
23:12
satoカエル子
お久しぶりです。「近未来〜」の広告は、今の時代ありえないような絵柄で、あまりに××くさくて記憶に残ってます。
予想通りの結果に、かなり呆れましたが。
広告掲載って各媒体とも基準があって、たとえば宗教系の広告がどこにでも掲載されないとか、消費者金融系の広告のCFは夜の何時以降しかオンエアできないとかあるんですけど、実際はそれにあてはまらなくても自社の媒体の影響力を考えてお断りすることも多いようです。
今回の場合、巨大新聞が何回も掲載してたので、その倫理感は少なくとも問われるべきだと思いますねー。
まだ公判中の×リエモンを近々テレビ出演させる番組があるとかないとかも聞いてますが、視聴率や広告収入ありき以前に媒体としての倫理感、考え直してほしいものだと思います。
マスコミの端くれで長年働いてた身として、媒体の方針と人気とりは別なので、最近の人気取り、視聴率取り、部数増狙いで偏った過激な報道に走る傾向は、巨大広告主に媚びて腰ぎんちゃくな記事ばかり載せるのと同様、反省すべき点のひとつでしょう。
雑誌やテレビがインターネットに食われてきてるのは、単なるITの波だけでなく、そういう旧態依然としたオールドメディアの傲慢さにも起因しているのではないでしょうか?
2006年12月04日
23:54
安斎利洋
>オールドメディアの傲慢さ

TODOさんにしても、まいけるさんにしても、かえる子さんにしても、現場の空気を知っている人はどうしてこういうことになるのか仕組みが見えるんでしょうね。誰も意図していないのに、そういう空気になっているような。
このまえソフトバンク新書を読んでいたら「googleは圧倒的に指示され」なんて書いてありました。新書は校閲を通さないんですね。雑誌はそれでもいいと思うんですが、新書や単行本に誤字を残さないのは、出版社の社会的責任だと思う。いつのまにかメディアが、ブランドの誇りのようなものをなくしてしまっているんじゃないでしょうか。
2006年12月05日
00:17
まいける
ちなみに、この15年で「校閲」というセクションの無くなった出版や印刷会社が多いです。

これはDTP化の負の遺産です。
2006年12月05日
01:58
安斎利洋
表記の統一ぐらいなら、人手の校閲は必要なくなりましたが、「googleは圧倒的に指示されている」という文章をチェックできる機械の校閲はあるんだろうか。手元にある言語工学研究所の「校閲/推敲システム」は、すんなり通ってしまいました。
2006年12月05日
05:32
中村理恵子
>この15年で「校閲」というセクションの無くなった

うーん、なるほど。
駆け出す前の一呼吸吐く間合いみたいなものを止めちゃったとう意味に、わたしには聞こえます。
いきなりの走り出しというのは、途中で酸欠になっちゃうんじゃない?思考停止しますね。
2006年12月05日
06:07
TODO
>これはDTP化の負の遺産です。

業績悪化も重なって人減らしもあり校閲はデスクが兼務となりました。考えられないミスが出てくるようになりました。

私が入社した頃、新人記者が書いた記事に印刷現場から注文が付いたことがある。地方デスクや本社デスクも通った記事に印刷からのクレームには驚いたが、いまや印刷も外注だから何でも通る。
2006年12月05日
16:27
安斎利洋
>駆け出す前の一呼吸吐く間合いみたいなものを止めちゃった

そうなんだよ。筆者の書いたままを読んでいるわけだから、だったらブログでいいじゃない、ってことになる。出版や新聞の存在理由は、推敲や校閲を通っている安心感なんじゃないかな。

>新人記者が書いた記事に印刷現場から注文が付いた

活版にしても写植にしても、印刷現場が文字を人手で拾っていたからできわワザですね。このローテクが、言葉のノイズを監視してたわけですね。
2006年12月06日
13:29
たんぎー
人文科学、とくに多言語を扱う分野の研究報告書や論文集の編集現場も年々混乱が増している印象があります。版下の誤字・脱字、文字化けなどを最終的にチェックする工程が省略されがちですね。
2006年12月06日
19:20
安斎利洋
人文系、とくに文学の言語は、自動的に直すというわけにはいきませんからね。

「圧倒的に指示されている」は、日常的な表現であるなら「圧倒的に支持されている」の誤変換だけれど、評論の中で使われていると、圧倒的にリンクされている状態を比喩的に表現したのかもしれない、という可能性を捨てることができない。

やはり、人間が言葉を大事にするしかない。

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