安斎利洋の日記全体に公開

2006年09月11日
02:56
 『憲法九条を世界遺産に』
写真
僕は、自分の根本的な動作原理を書き換えられない人間にはなりたくないと思う。だから、憲法を守りたいから憲法を守るというトートロジー(同語反復)が好きになれない。

現実にそぐわないから憲法を変えよう、というのも、そういう退屈な理由で土台から書き換えちゃう仕事は、たいていダメだよな、と思う。

憲法九条は、危険で矛盾をはらんだ瞬間芸だから、こんな珍品はもうめったに地上に現れないだろうから世界遺産にして保存しよう、というのが爆笑問題の太田光と中沢新一の主張。これだ。じつにしっくりくる。

ひとを立ち止まらせて深い思考に引きずり込む言葉や作品は、たいてい現世的には矛盾を含んでいる。だから、すぐれた哲学や芸術は、いきなり心地よいものではなく、慣れてしまったものの見方をひきはがす危険で困難なパラドックスをはらんでいる。

憲法九条は、そういう種類の質の高い思想の言葉、あるいはきわめて難解な芸術作品なのだ。だから、現実的であるはずがない。こんな非現実的な憲法で国家をやってきたということ自体が奇跡的。だから憲法九条は面白い。正しいから変えない、とか、間違っているから変える、ではなく、面白いから捨てたくない。これには、深く共感する。

しかし、わからない人にはわからないだろうな。面白いことが一番強い、ということも。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087203530
 

コメント    

2006年09月11日
03:20
klon
同意です。
改正論者というのは基本的にはヒマな人が多い。

面白い、ということが一番大事だというのは昨日の藤幡さんとのトークでも中心話題でした。
2006年09月11日
03:54
僕もこの本この前読みました。
2006年09月11日
05:00
安斎利洋
>面白い、ということが一番大事

これは、僕らの習性ですね。太田光は本当に面白い。仲間な感じがする。
2006年09月11日
05:05
安斎利洋
対談も面白いんだけど、太田光の文章が面白くて、薔薇の花は棘があることをむき出しにしているから、安心できるのだ、と。桜は、薔薇とは正反対でほとんど狂っていて、死を思わせる。で、憲法九条は桜の方で、桜を安心できる薔薇に変えようとしているのが改憲派なのだ、と言うんですね。桜は危険な花で、覚悟がいる。単純に言うと、九条擁護を民族主義的なイメージに簡単に接合しちゃっている。でも、本当の座標系は、むしろそうなのかもしれない、と思わせる説得力がある。
2006年09月11日
08:03
ユミ
桜の木の下には、、、
安吾ですね。



私も昨日読了しました。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=212713348&owner_id=2061079
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=215782377&owner_id=429569

ココとかココでも話題。

もしかすると、この本はコメディアンと学者による一種の‘同時多発テロ’ですね。
洗練された闘いの形だと思います。
2006年09月11日
08:44
しゅわっち
憲法違反で軍をもっちゃいました!っていうのも,大いなるボケということで許してって世界に言っちゃうとか.
2006年09月11日
12:10
安斎利洋
「それ軍隊じゃねぇよ」と、田中が突っ込むんでしょうね。

この人たちに近親間を感じるのは、矛盾をもったシステムが作動し続ける(そういう言葉は使ってないけれど)ということを深く知っている点だと思う。
2006年09月11日
16:46
klon
僕は溺れている子供も助けられないような軍隊は金の無駄だから捨ててもっと楽しいことに使ったほうがいい+丸腰になるとどうなるか、という実験をしてみたらいいんじゃないかという考えです。
2006年09月11日
18:17
じゃい
>丸腰

かっこいい。
実現したら、国家の犬でもなんでもなります(嘘、基本的に犬にはなれない、猫ならどうにか)。



冗談はおいといて、安保廃止などして憲法改正で永世中立国を宣言する以外、矛盾をはらみながらも現憲法を解釈して使っているほうがずっとまし。

攻められたら全面降伏したらいけないのかなー。
そのほうが被害最小ですむように思うのだが。

でも、「5年以内に憲法改正」とな。

仕事帰り、本屋が開いていれば買って読みたいと思います。
2006年09月11日
21:00
政権交代に発展しかねない、ある意味、楽しみな改革かも知れません。

「それ大日本帝国憲法じゃねぇかよ」と、田中が突っ込み、
「それ脱ポツダム宣言じゃねぇかよ」と、国民が突っ込む。
「最近、没脱ダム宣言したばっかりじゃねぇかよ」と、別の田中が突っ込む。
2006年09月12日
02:28
安斎利洋
昔、公園の木の上に板を渡そうという実験的な遊びをしようとしたら、先生にちくった退屈な友人がいたな、そういえば。もう顔も思い出せないけれど、安倍晋三だったんじゃないか。学年もいっしょだし。実験の嫌いな退屈なヤツがもつ野心こそ、最低だ。
2006年09月12日
09:44
うさだ♪うさこ
読みたいな思って、本屋さん行って見たら、いま、「美しい国」とかいう新書版の本がレジ前と売り場と両方で平積みになってて、ちょっとゲンナリして帰ってきてしまいました。

>「それ大日本帝国憲法じゃねぇかよ」と、田中が突っ込み、

ていうか、「大日本帝国憲法にだって、そんなこと書いてなかったじゃないかよ」みたいなことになりつつありますよね、現実には。

2006年09月14日
12:03
>学年もいっしょだし。
老けてるなー晋三。安斎さんが若いのか。
2006年09月14日
23:23
rikupapa
安斎さん、ご無沙汰しちゃって。。。<(_ _)>
いやいや、全くうまく表現していただって。。御意!
これ読んで以来、メディア報道の人間にこの面白さを説教して回っていたんですが、なかなかナットクしてもらえない。。
この安斎さんの言葉、読ませます!(^^♪。。
2006年09月15日
00:09
しゅわっち
購入していま読んでます.
2006年09月15日
01:36
安斎利洋
>rikupapaさん、ご無沙汰。

僕らの世代は、イデオロギーありきの政治闘争は嫌いだけれど、レアものの憲法をみすみす手放すのかよ、に共感する人は、まわりを見ても多いですね。

>>学年もいっしょだし。

安部晋三は、調べたら一学年上だった。でも彼は、ナショナリズム的な話題のときだけ元気だよね。顔も中身も腑抜けなのに。僕はどうもああいうタイプはダメだ。ボランティアを義務付ける、と今日も発言していたようです。義務づけたらボランティアじゃねぇよ、と田中。
2006年09月15日
01:55
よっ! 総理ボランティア!!とでも 太田がいいそうだ。
なんだよソレと田中。
2006年09月15日
15:22
じゃい
>ボランティアを義務付ける

義務ではないボランティア活動はどうするんだろう?

「義務ではないボランティアなんてあるわけないでしょ、義務つけられないボランティア活動は禁止!国の言うこと聞いていればいいんだ。」

・・・どこまでもダメな人だ。
2006年09月15日
15:58
>義務づけたらボランティアじゃねぇよ、と田中。
「信じられるボランティア活動」って、宣伝広告にもならねえやって、別の田中が突っ込む。
2006年09月16日
15:26
MATANGO
>ああいうタイプ
「素敵ねえ、彼...」
「まあ、そうでもないけど...」
「だって、男前でアタマよさそうでやさしそうで頼りがいありそうで欠点なんかなんにもないんじゃないの?」
「....ふふふ、そうでもないけど....」

(ぴらりらり〜ん....)

「きみ、タマゴは半熟でって言ったはずだと思うけど...」
「あ、ごめんなさい...ついうっかり...」
「言ったはずだよね、覚えてる?」
「覚えてるけど...」
「...だったらどうして固ゆでなのかな?」
「だから、ついうっかり....」
「ま、いいけどね、まちがいは誰にもあることだから...」
「.......ごめんなさい...」
「あれ?トーストにバターもう塗ってある....言ったはずだよね...」
.....................。
2006年09月16日
15:37
ユミ
ひゃーーー
どっきん。
「ごめんなさいの言えない人」で通ってます。
で、それは「ちいさい時のトラウマ」だということらしいです。

いたって幸福な子供時代を過ごした自覚のある私はここでも「ごめんなさい」を言うべきかどうか、逡巡してます。。。

安部晋三のおくさんでなくてよかったぁ。
2006年09月18日
01:43
安斎利洋
MATANGOさん、またお金にならない芸をふりまいて。

安部晋三は、マッド・アマノのパロディに怒って、抗議の内容証明郵便を送りつけてきたとか。イデオロギーの檻に自分で引きこもっちゃったやつって、右も左も同じように、笑いに対して怒る傾向がある。笑わない人間に要注意。
2006年09月18日
02:12
安斎利洋
字が違った。内容証明が来てしまう。

安部→安倍
2006年09月27日
00:41
rikupapa
フジテレビの「ワッチミー!TV」に、網野善彦さんが監修したらしい、こんな映像が上がっています。「婆裟羅」の話。
http://www.watchme.tv/v/?mid=36e425d506a15b14cec0d71abfb2ac44
ひとつ年上の血縁政治家が首相になって、想像を絶する組閣をしてくれた日、いい餞でした。

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