安斎利洋の日記全体に公開

2006年07月04日
15:01
 音楽バトンでわかったこと
「何が好きか」という情報は、もしかするとまったくその人を表していないのかもしれない。それは「表明」にすぎないから。「何が嫌いか」も、同じように「表明」だ。

「一番好きな曲」という問いで気づいたのは、自分は「一番好きな曲」に出会っていないということ。出合っていないから、気持が音楽に向いていく。

表明としての音楽も、聴いていない音楽も、イマジナリーな音楽だ。

それに対して「普段口にしないけれど実は好きな音楽」というのが、その人の素顔を描いて、面白かった。

ショパンが好き、というのが僕はちょっと恥ずかしい。じゃいさんの Rockit は笑った。Rockitの歴史的意味は恥ずかしいってもんじゃないんだけれど、でもやはり恥ずかしい。Archaicさんのモーツアルトも、stellaさんの越路吹雪も原体験。小林龍生さんのワグナーは小林さん自身の内なるワグナーへの恐れだ。

これらは、自分に近すぎて対象化できない、決してイマジナリーに「なれない」ものたちだ。
 

コメント    

2006年07月04日
15:15
stella
考えてみると私の越路吹雪にはマザー・コンプレックスの気配がありそうです。
2006年07月04日
15:22
安斎利洋
そうなんですよ。この質問が引き出すものは、オイディプス的だと僕も思った。
2006年07月04日
16:10
Yuko Nexus6
何が好きかはつねに変化すると思います。
2006年07月04日
16:13
安斎利洋
変化しますね。それは、ちょっとづつ自分が拡張していくからでしょう。次にアミーバーの手を伸ばす領域を「好き」と呼んでいる。
2006年07月04日
18:55
Archaic
だからとっても難しかったんです。なんだか自分と格闘しているような気分で時間がかかったんです。正直になるのってやだわ〜って。(笑
2006年07月04日
18:56
小林龍生
一番答えるのが難しかったのが、「一番好きな曲」という問い。好きな曲はたくさんあって、本当は順番なんか付けられない。
ベートーベンの作品110のピアノソナタ(変イ長調)のフーガの出だしとか、モーツァルトのホ短調のヴァイオリンソナタの二つめの楽章の昼間部でホ長調になるところとか、バルトークの弦楽四重奏曲で突然イ長調のメロディーがはっきりと現れるところとか、ぼくにとってのある種の原音楽みたいなものはあるわけだけれど、それは好きとか嫌いとかいったものではなくて、ぼく自身の耳の記憶とその純化されたものとしての抽象的な概念としての音のつながり(うまく言えないけれど、音声を伴わない言語表現みたいなもの)としてぼくの脳に刻まれている。
「好き」とか「嫌い」とかは、所詮対象化できるものに対する判断なのであって、自分のアイデンティティの一部と化したモノに対しては適応できないのではないだろうか。
2006年07月04日
19:32
安斎利洋
僕のバトンタッチの思惑はほぼ当たりというか、こういう問いの形式そのものがもつ回答しづらさが、音楽を逆に浮き彫りにするような人を選んだのでした。
2006年07月04日
21:14
じゃい
変わらないのは私が好きと思うこと。

その対象は移ろい行くか、とどまるのか、
それは神さんがダイスでも転がしているみたいです。
2006年07月04日
21:15
小林龍生
ははは、光栄だな。
2006年07月04日
21:51
Archaic
ついに暴露されてしまいましたものね。あ〜あ。
(モーツアルトに始まり、モーツアルトに終わる。これって今年だからこそ、いやだったんだけどなぁ。)
2006年07月04日
22:59
stella
Archaicさんのモーツアルト/クラリネット協奏曲は誇らしいと思いますよ!
2006年07月04日
23:38
Archaic
あ、誇らしいなんて言われると。。。。
はい。いい加減素直になります。(笑
2006年07月05日
00:24
安斎利洋
yukoさんやじゃいさんは、音楽をゼロから作る人ですが、stellaさん、Archaicさん、小林さんに共通しているのは演奏家だということ。Archaicさんはプロのクラリネット奏者。Stellaさんは一流のアマチュアオケのコントラバス、小林さんも一流のアマチュアオケの打楽器奏者。ゼロから作るのと、奏者というのは意識が微妙に違うのかもしれないな、と思いました。
クラシック音楽の奏者は、読み手であり書き手であるわけで、役者にも共通するけれど、リプリゼンテーションという特殊な表現者なんですよね。曲という枠組み、アンサンブルという枠組みの中で、音そのものは好きに演奏できる。音楽の聴き方も、奏者というのは違うんだろうな。
2006年07月05日
07:34
小林龍生
>小林さんも一流のアマチュアオケの打楽器奏者
天につばするような突っ込みなんだけれど。
この《一流の》は《アマチュアオケ》にかかるのか《打楽器奏者》にかかるのか。
一流のアマチュアオケの打楽器奏者が一流であるという保証は論理的にはないのでね。
しかしの一般的には、あるオーケストラの全体水準が打楽器奏者(特にティンパニスト)の水準で下支えされていることも事実でね。
2006年07月05日
13:15
安斎利洋
>この《一流の》は《アマチュアオケ》にかかるのか《打楽器奏者》にかかるのか。

もし小林さんの叩いているティンパニが高価だったら、《打楽器》にかけてもいいけどね。
好きに選んでください。
2006年07月06日
11:13
miyako/玉簾
一番好きな〜 なんて限定できないね。
もし一番好きな曲は?って聞かれたら

「最高に気持ちのよい朝か早い午後に
思い通りに歌えたり演奏できた時の自分の音」

って答えます。

 安斎利洋mixi日記 一覧へ