安斎利洋の日記全体に公開

2005年04月28日
18:39
 ドラマ・リテラシーのない人々
昼間のファミレスはほとんどが女性の集団で、最近は見かけなくなったけれど、ヨン様話に盛り上がっている絵に描いたようなおばさん方もいる。そこで耳にしたのが「日本のドラマって、わかりづらいのよね」という言葉。これだ、諸悪の根源。

人間は複雑多面体だし、人間模様も複雑多面体だ。ドラマ・リテラシーの低い人たちは、基本的に2面か、多くて4面くらいまでしか頭がついていかない。日本のドラマはなんだかんだ言っても宮藤官が受け入れられるくらい、成熟している。それに追いつけない人たちが、正多面体を求める。

国際政治も複雑多面体だし、脱線事故も複雑多面体だ。複雑なドラマを読み取る能力がない人々の視聴率をかせぐために、今日のワイドショーも<悪者面>探しに躍起だ。

メディア・リテラシーなんてどうでもいいから、まずはドラマ・リテラシーでしょ。
 

コメント    

2005年04月28日
19:18
フナ­
安斎さんこんばんは、お久しぶりです。

>人間模様も複雑多面体

「ハウルの動く城」を見たときに僕はこのことを強く思いました。悪者、白黒、簡単な答えばっかり求めないでもっと深くコミュニケーションはあるべきなのだよと宮崎さんは言いたいのかなと自分は感じました。自分を多面体だと考えれるとどこまでも広く伸びれるような気がします。
2005年04月28日
19:28
Archaic
シンプル・イズ・ベストなんて言葉がありましたね。

以前思ったのはやはり日常生活の中で教養深く生きておられる方は複雑多面体の妙味をご存知だなと。
アメリカのファスト・フードのあの味だけでは人生は語れないはずですよね。
2005年04月28日
21:44
Yuko Nexus6
ああー!そういう視聴者がいるから、本仮屋ユイカちゃんの朝ドラは、いわずもがなのナレーションで素敵な演技と脚本がめちゃめちゃにされているのだー(怒)。

あのさ、そういうおばさんたちのお母さんの世代って、なんの説明もない小津安次郎の映画とか、どっぷりしっかり理解して共感して楽しんでたんじゃないの?

あー、みるみる頭がわるくなるーーーー
2005年04月28日
22:20
imochang
ドラマは見ないから、よくわからないけど(興味ないから)、ただ最近の子供達って、宮沢賢治とか全く理解できないそうですよ。
酷い子によっては、マンガの文法が理解できないそうです。
コマ順に読んで、話を理解できないらしい。
私は既にその段階で「どういうことだ?」と理解できないのだけれども、確かに、私たちの子供の時代の少年少女漫画は、今の青年誌よりレベルが高かったかもしれない。
もう将来が薄いひとはいいから、まずは、子供達の多面性を育てたいですな、私は・・・
はい、チビにも、いずれは見せますよ、小津安二郎の映画!
高校生の頃、一週間だけ名画座になるポルノ映画館があって、私はそこで小津をみまくりました。
毎回やってくる童顔のチビ・・ということで、映画館の顔でした。

でも、こういうのがわかる世代とわからない世代って、交互にやってくる気もします。
つまりは、わからない親に育てられると、わからない子供になる。
わかる親に湯水のように与えられると、わかる子が育つという、大変シンプルなシステム。
わかる子供を育てられる親になりたい。
2005年04月29日
00:13
あ っ こ
日本のドラマは別な意味で好きではありません。十分単調だと思います。一部の作品をのぞいて大抵はじまってすぐにお話が見えてしまいます。日本のドラマの一番楽しめないところは会話です。食事のシーンなど最悪!ほとんどの場合会話は無いです。会話のグットくる脚本をあまり知りません。テレビ自体をほとんど見ないこともあるので、もっとまじめに見ていたら面白いドラマにも出会えるかもしれませんが。冬ソナもみたことがありません。興味がまったくありません。もちろんストーリーは知っています。
ドラマは人の創るものなので面白ければいいでしょう。問題は現実の世界がどうなっているかを読み解く能力の欠如でしょう。機微がないか又は理解できない人と仕事になると大変なことになります。

面白い現実は、単純なドラマが好きでそれしか理解できないのであればそれで十分だとも思うのですが、そういった人たちに限ってありもしない行間をほじくり返すのが上手だったりすることです。言葉はまず文字どおりの理解ができて何ぼだと思うのですが?わたしから見れば結構複雑な回路をもって居たりしますね。もしかして半ば意識的に面倒なことを切り捨てて生きているだけかも知れませんね。たかがドラマの複雑性が理解できないで、携帯電話つかこなして生きていけるか?とも思います。日本進学率いったいなにを生んだのか?疑問です。
2005年04月29日
00:20
gilli
最近の研究によれば、マンガを読んでいる時は、文字だけの小説を読んだりする時よりもずっと脳の広い部分を使うらしいです。

なので、『マンガばかり読んでいるとバカになる』と昔は良く言ったのは、実はそうではなくて、マンガを読んでいるほうがずっと脳ミソは活性化されると、養老先生も言ってました。

そんで、韓国ドラマと日本ドラマの問題ですが、韓国ドラマは、たしかにキャラクターの設定や、話の流れなどがわかりやすくできている部分もありますが、感情描写などにおいては、表情のアップだけのカットを長くとったりと、とても丁寧で言葉で説明しないところも多いというのが最近、いくつかを見て(通しで見ていないのだけど)思ったことです。だから、日本のドラマが分かりにくいなんて言っているオバちゃんは、あらすじを追ってるだけで、韓国のドラマだってちゃんと読み解いてはいないのじゃないかなと思う。
2005年04月29日
02:51
安斎利洋
スマトラ沖地震が起こった直後、日本のマスコミは初動が鈍かったんですが、あれってたぶん、リゾート地で起きた災害なんぞになかなか消費できるドラマが見つからなかったからじゃないかと思うんだよね。メディアに流れているのは、情報じゃなくて物語だから。

いまや政治を広告代理店が作り上げる時代だから、マックバーガーみたいな勧善懲悪ドラマしか味わえない人があふれ出すと、世界は本当に脆弱でやばいシステムになってしまうと思います。

だから逆に、ちゃんとマンガ読もうよ、ちゃんと映画見ようよ、って思うわけ。これもまたカンブリアンのことを考えているんですが、無限に分岐する物語を作る訓練って、齋藤孝じゃないけど、ドラマ脳を鍛えるんじゃないかな。
2005年04月29日
03:54
Yuko Nexus6
「恋におちたら」って、ホリエモンに対するフジサンケイグループのリベンジのつもり?

やっぱ「残酷な神が支配する」(萩尾望都)とか読んでるほうがよっぽど身になるー
2005年04月29日
07:42
小林千早都
安斎さんの日記およびコメントを見て、
いちいち頷いてしまいました。
シンプルでないと受けない(視聴率が稼げない)と
嘆いていたテレビマンの顔が浮かんできます。
2005年04月29日
12:22
Archaic
>メディアに流れているのは、情報じゃなくて物語だから。

これ、本当ですよね。切り取られ再構成された物語。
真実とまではいわないにしても的確な情報と言うのは欲しいもの、とスマトラの際にも私自身アチェという地域の特異性すら知らなかったがために現地でなぜこんなにも対応が甘く遅いのかと言うことがなかなかわからずにおりました。
今回の対日感情に対する中国政府の対応にしても放置することが暗黙に了承の意であり、諸外国のメディアからの疑問を受けてやっと動き出した。そういう言葉にならない、言葉に残さない、態度による表明というものをもっと真摯に受け止めてゆくべきでしょうね。
2005年04月29日
16:42
安斎利洋
>切り取られ再構成された物語。

同じ報道映像の素材を、違う順番、違うBGMで構成すると、まったく違う意味になるという実験があって、これは誰もが知っておくべきことだと思いました。みやばらさん、sugi2000さんのふたりも、そういう「ドラマを見る自分」をメタ認知するチャンスになる面白いワークショップをやっています。

とりあえず、報道映像にBGMを乗せるのはやめてほしいな。
2005年04月30日
05:12
gilli
イラク人質ー自己責任キャンペーンとか、大量に流される情報の裏側を読もうとしない人達が増えすぎていると思う。
北朝鮮の拉致家族の人達に対する中傷なども。

脱線事故にしたって、オーバーランの距離が二転三転したりしているが、8Mより長そうだというのは、はじめに事故にあった当事者が当日のインタビューで、皆口々に言っていたことだった。
JRが8Mと公式な記者会見をした後は、乗客の距離についての証言は一時流されないようになり。それで、実は40メートルだったということがわかった途端に、距離についての証言がなされていた。そして当初の距離についてのインタビューから実は60メートル以上だったらしいということがマスコミ側も見えてきたりもしている。
現場がそこにあって、沢山の目撃者がいても、テレビなどのメディアは暗黙の口裏合わせをするようなところがあるのは何故なのだろう。いくら個々の人が頑張っていたとはいえ、あの見るからに非効率そうな救助ぶりや、『ほとんどの人が即死状態だった』というのは公式見解かなにかしらないけど、実際には、最初は息があっても、搬送が遅れてなくなった人も大勢いるようじゃないか。それを知ると家族や視聴者にショックを与えるだけから流さないのだろうか。

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