安斎利洋の日記
2006年06月08日
01:18
異端・マイナスの色
人間は、自分を異端化しようとする習性があるんじゃないか。
図は等色関数といって、いろいろな色(波長)に対するヒトのRGB受容器の感度分布だ。注目すべきなのは、赤の曲線が水色のあたりで0より下にめりこんでいること。これを普通の言葉で言うと、水色を見ているときは、赤を差し引いている、となる。詩的に言うなら、人間は負の感覚をもっている、ということになる。おそらく、色をよりはっきり分節化するために獲得した性質なのだろう。
近親憎悪という言葉があるけれど、たとえば自分の専門がある種の音楽だとして、別の種類の音楽をやっている人とは仲良くなれる。ぴったりその種の音楽をやっている人とも、意気投合できる。しかし、ある種からちょっと離れた音楽をやっている人に対しては、非常に厳しくなる。評価できないのに人気があったりすると、非常にイヤになる。そこだけは、寛容にはなれない。そういうことって、どんな分野でもあるはず。
これ、等色関数のマイナスと同じことなんじゃないか。
Amazonは、たいていこの厳しいあたりをめざしてリコメンドしてくる。そこはマイナスの重みにしなくちゃいけない近さなんだよな。
このあたりに、いろんな人間ネットワークを面白くするヒントがあるような気がしてならない。
コメント
2006年06月08日
02:08
みまぞう
異端とは、
ルールの中での対立項なのか?
ルールはずれなことなのか?
多くの場合はその中間で、ルールを変えようとすることなのかも...。既成のルールに変なルールを持ち込む提案は評価が高かったりする。
2006年06月08日
02:19
安斎利洋
すばらしい!
異端は、メタ・ゲームプレーヤーだと思います。コードを作ろうとする人。連続した空間の中で、異端の距離を測ろうとすると、異端の行為が空間をゆがめていることに気づくことができません。だから、競争をすると同じルールの制約の中で、同じようなことをしはじめる。NHKが民放と同じようなバラエティをやっているのは、NHKが視聴率を気にしているからです。ゲーム理論で説明できるゲームには、異端はありえない。進化ゲームとして考えないといけない。
2006年06月08日
02:23
安斎利洋
だから、イメージとしては、異端のまわりにマイナスの溝ができるというようり、関心空間(そんなのあったな)を仮定して、異端のまわりの空間が密になるんでしょう。異端は、自分の周辺のレゾリューションを異常に高くした状態である。
話が何ステップかいっきに進んだ。
2006年06月08日
02:24
安斎利洋
みまさんの言う、中間、という含意は深いですね。
ルールに従いながら、ルールを変える、って話ですね。
2006年06月08日
04:01
みまぞう
ルールにしばられるとつまらないけど、ルールをあんまり無視すると、ゲームの参加者からシカトされてしまう。
ってな感じですか...。
2006年06月08日
04:06
安斎利洋
まさに、そういう塩梅の問題かもしれません。飛んでいる飛行機を、飛びながら設計を変えるような話ですから、塩梅を間違えると落ちる。ちなみに僕はよく落ちます。
2006年06月08日
12:12
にしの
近親憎悪の感覚は、擬人化された人工システムの「不気味の谷」問題にも通じる気がします。
平坦な検索空間で谷をどう作るか工夫のしどころですね。
2006年06月08日
12:26
安斎利洋
まさに、「不気味の谷」と同じ問題ですね。
>平坦な検索空間で谷をどう作るか
直感ですが、単純にある距離をマイナスの重みにするだけじゃ、うまくいかない気がしますね。自分の関心事に関して「不気味の谷」は一定でなく、しかも刻一刻と変わっているんじゃないか。
蝋人形って、不気味の谷の不快感を楽しんでいるようなフシがありませんか。不気味の谷は、嫌いだけど無視はしたくないんだろうな。
2006年06月08日
13:13
安斎利洋
にしのさんの日記
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d=4077
071
フィルタじゃなくて、地図の提示が大事なんじゃなかろうか、という話。
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