安斎利洋の日記全体に公開

2005年04月20日
13:57
 中国人であるとはどういうことか
前の日記にもちょっと関係するんだけれど、

お金ですべて解決のつくことというのは、潔い。すべての人が拝金主義になると、案外資本主義は、多少の差はあってもおおむね人を幸福にしてくれる方法なのだ。

しかし、お金のロジックの単純な潔さになれてしまうと、お金のロジックで動いていないものについて、想像力が働かなくなる。だから、フリーのソフトは時折付き合うのが難しい。経済的に依存しているので決裂するはずがないと思っている相手との間に、決定的に亀裂が入る。イスラム国家はややこしいということになる。戦争はお金のロジックが舞台を作るが、引き金をひくのはもっとシンプルで胸の奥にある思いだ。

コウモリであるとはどのようなことか、という本があるが、原理の違うシステムで動いているものの内部になってみる困難な想像力は、いろいろな発見を促してくれる。だから、中国人であるとはどのようなことか、という想像力を働かせて見たいと思う。

隣国が同じ資本の原理で動き出し、同じ先進国の国際政治力学の原理で動いていると思うと安心するが、相手が自分と同じアルゴリズムで計算していると考えると大きく誤ることがある。動作原理の違う、ルールの違う相手とサッカーをしていると考えないといけない。駆け引きが成立しない部分の方に、むしろ本質がある。

だから、ことによると洗脳されているかに見える人になってみるのだ。洗脳されているとはどういうことか。すると、まったく気づかないうちに国家やメディアや広告のロジックに洗脳されている日本人であるわれわれも、日本人であるとはどういうことかが、逆照射されて見えてくる。

突然相手が怒り出したように感じるときは、自分の中で何かが停止していたのだ。この60年間の大陸の歴史のなかで日本を隣に感じてきた国の人になってみる。これはけっこう、面白くて有益な想像だ。
 

コメント    

2005年04月20日
14:12
ヒマナイヌの川井
>突然相手が怒り出したように感じるときは、自分の中で何かが停止していたのだ。

なるほど。考えさせられますね。
身近なことでもこのパターンはありますからね。
2005年04月20日
14:27
大富豪家2.0
自分が熟知してることについて、知らない人の立場になって考えることは難しいですよね。たとえば、漢字が読めない外人が日本語の看板とかを見たときにはどう感じるのでしょう。文字には見えるのか? ヒエログリフみたいに感じるのか? 等々。
日本人としての知識をすべて忘れて、中国人だったらどう感じるのかぜひ知りたいですね。もし苦労してそれを知ることができたとすると、その時すでに自分は日本人ではないわけですから、もとの状態に戻ってその感覚を持続させることは不可能な気もします...
2005年04月20日
15:48
みゆき
日本人であること、を日本人ほど、曖昧にとらえている、もしくはとらえてない人種はいないのでは、、と
思ったりもする。

>この60年間の大陸の歴史のなかで日本を隣に感じてきた国の人になってみる。

わたしたちにとってみれば、あ!!隣だったんだ!!という感覚なのでは、、。急にクローズアップされたように感じてるけど。

それと、案外,情報が得ようとしないと入ってこないというのも
日本の国の操作なのかもなあ。と思う。

あら、、入ってます,?、,私だけ?? かしらん。
2005年04月20日
18:19
あきら
昔、韓国の会社で働いていたとき、たびたび韓国に出張に行ってたのですが、当時も政治家が韓国の人を逆なでするようなことやってて、こっちは、自分がやったわけでないのに、随分責められました。
韓国にしても中国にしても、ずっと昔から日本人には反感持っていると思います。日本で報道していないだけだったのでは?

個人的に友達になると、彼らもわかってくれて、僕が地元の人に責められているとき、僕の味方になって助けてくれたりするんだけど、そんな彼らも日本人てか日本の政府ってか、には反感を持っています。

中国や韓国を逆なでする好意って何の利益があるんだろう。不利益こうむっている人の方がよっぽど多いと思うのに。
過去を知ることが自虐的になるって言っている意味もわからない。
2005年04月20日
18:50
Yuko Nexus6
ソウルであった韓国人アーティストによる名言。
「いっつも政治家がよけいなことして、トラブルをひどくするのよね」
2005年04月20日
20:12
ユミ
エノーラゲイが戦争を終わらせた英雄だって言ったら日本人のほぼ99%は「ちがう!」というだろうし、残りの1%の人々だって違和感を覚えながらの同意(?)だろうと思う。そういう「ちがい」の集積。。。

いずれにしてもうまくやっていく為には加害者側とされるほうがもっと注意深くなきゃいけないし事実をきちんと見つめる勇気が要求されるとおもうんだけど、、、

日の丸、君が代、強制的に歌わせる前に冷静な近代史教育でしょ。文部省!!
ちなみに、昭和史は小中高と時間がなくってやりませんでした。わたくし。
2005年04月20日
21:06
安斎利洋
>その時すでに自分は日本人ではないわけですから、もとの
>状態に戻ってその感覚を持続させることは不可能な気もします...

洗脳されたスパイは、どうやって正気に帰る薬を自分にのませるか。コンパイラ自身をどうコンパイルするか。

AとB、それぞれの内部にどっぷりはまって、しかもAとBを自由に行き来できるためには、その両方をメタ認知できるCの視点をもたないといけないんでしょうね。そういう認知を助けるような装置を、富豪家さんぜひ発明してください。
2005年04月20日
21:35
安斎利洋
>急にクローズアップされたように感じてるけど。

そういう感覚は、ありますね。

僕らの世代にとって、中国っていうとみんな人民服を着て、いまの北朝鮮のようににこにこして、北京の日本語放送でアメリカ帝国主義の悪口を言って、文化大革命をたたえている気持の通じそうにない人たちでした。案外中国の人たちって近いな、と始めて思ったのは、ほんの十数年前です。

10年前に中村さんと北京に行って、西安の書家とコラボレーションをしました。そのときの様子を、当時始まったばかりのネットチャイナというプロバイダから発信しました。いい人ばっかりじゃない、と思う一方で、そのとき手伝いに来ていた情報系の大学生たちのほとんどは、気持が通じなかった。強烈に覚えているのは、蓋の開かない中国製のペットボトルを思いきり笑ったら、女子大生ににらまれた。にらまれた理由が、その瞬間わからなかった。あの世代あたりから、反日教育が始まっていたってことなのかもしれません。

そういえば、なぜか東京のどこにでも電話が通じるのに、北京から僕の自宅に電話が通じなかった。たまたま中国の公安のフィルターにかかる人と近い番号だったのかもしれない。ともかく、ものすごい警察国家だと思うべきだ。外国人記者の電話はほとんど盗聴されていると思わなければならない、と取材に来ていた北京駐在の共同通信の記者が言ってました。

ドイツはナチスというシンボリックな悪と、その崩壊のドラマを持ち続けてきたわけですが、僕らが日本のセルフイメージの基調としている物語は、敗戦でぼろぼろになってから立ち上がってきたという被害者再生のドラマなんじゃないでしょうか。勝ち続けてきた軍国日本の何十年かは、そのぼろぼろで免罪になっている気になっている。すくなくとも僕は、北京にいるあいだそういうことをまったく考えなかった。たんなるのんきなリッチマンの日本人でした。

そういえ北京で知り合った野知さんが、my mixiです。かれはいま、何を考えているだろう。
2005年04月20日
23:28
miyako/玉簾
>AとB、それぞれの内部にどっぷりはまって、しかもAとBを自由に行き来できるためには、その両方をメタ認知できるCの視点

日本に非があることは範疇としても、それ以前に、中国内でのAとBがあり、Cの視点を持つ者は、面倒な事は望まないと思う。
財力、教育により、Cを理解する余裕がある人は、現状維持を望むので、Cに反対。
ボトムで生きて来た人は、生活で手一杯で構造を理解をする道筋すら持たないのでCには到達出来ない。
今、中国で起きている事は、この後者のフラストレイションがうまくコントロールされているように思えます。この構造は沖縄にもあるからそう思う。
2005年04月25日
18:54
匿名希望中・おーもり
日本って、結局いいようにされて、駄目ですね。
結構、与えて悪く言われて。
外交は、大昔から弱いですよね。
外の国の人よりも、より閉鎖的で集団心理で個性を嫌う。
自信を持ってない、強く出れない。
もっと人物が出ないと育てないと、なにを論じても。
ニュースを見てると滅入りますね。
食卓にいてメディアでニュースや(外国を悪く言う)論議が出たときに、もっと個人として人間を見る目を子供に持たせたいと痛感します。
国家の傾向は個人にも影響は、しますけど。
2005年04月27日
00:56
Yuko Nexus6
日本の不得意科目、外交およびビジネス
なんて思ってしまうな。
アジアの「味のある小国」になれないものかな、とか思う。
ベネチア、オーストリア、スイス、ベルギーみたいな感じ
2005年04月27日
01:04
ユミ
ベネチア、オーストリア、スイス、ベルギー

うん、みんなプライドのある国ですね。
いざという時の行動がぴりりとかっこいい。
大国の意思におもねないで独自の意見を貫いてる。
江戸時代の日本にはこれあったとおもうんだけどなぁ。。。

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