安斎利洋の日記全体に公開

2004年09月05日
00:06
 資生堂の陰謀
魚の匂いがつく話で、9年前に書いたテキストを思い出した。

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マッシュルームの陰謀(『Cape-X』 Aug.1995 掲載 )

「自分の匂い」といえば、奇妙な話を耳にした。マッシュルームのエキスから抽出したある成分を飲み続けると、だんだん自分の体臭が消えていき、ついには便の匂いもなくなっちゃうんだそうだ。

なかなか想像力を刺激してくれる話だ。カビやキノコなどの菌類は、不思議な超意識をもっているような気がする。花が虫を引き寄せて交配に荷担させたり、コメが人に食われることによって子孫を増やしたり、そういう現世的な常套戦略をもった遺伝子とはちょっと芸風が違う。カビやキノコは、何を考えているか直ちには理解できないところがある。人間の匂いを消すなんていうのは、なにか底知れぬ陰謀めいたものさえ感じさせる。

ところで、匂いの良し悪しは決してマイナスからプラスに至る単純な数直線ではないし、その中間に無臭があるということでもない。インドールといえば、マッシュルームに無力化されてしまう便の匂い成分のひとつでもあるわけだが、インドールの非常に希釈されたものは香油として使われるそうだ。悪臭は過剰な芳香であり、芳香はきわどく抑制された悪臭でもある。

源氏物語宇治十帖の主人公である薫は、生まれついて持った良い香りを体から放ったという。石鹸やシャンプーの芳香からするととても信じられない話だけれど、しかしきわどく抑制された汗の匂いを想像してみるといい。樹皮や種子の放つような危ない香りが、頭の中でくらくらとくゆるのを疑似体験してしまう。

いたって行儀のよい友人のAは、ひとつだけ悪癖をもっていて、髪を掻き上げたあとで一瞬その指を鼻の近くにもってくる。その一瞬に、Aは自分を嗅いでいるのだ。咎めるほどのことじゃないけど、でもやめたほうがいいんじゃないかな、と言い出しかねて頭の中で反芻するうちに、迂闊にもその癖がうつってしまい、いつのまにかぼく自身も、匂いの自慰を覚えてしまった。自分の体を触って、手を通して匂いを確認しながら、白地図を塗り分けるように自分の匂い分布を確認する作業。これがなかなか懐かしい。

夢のようなことに遭遇するとほっぺたをつねってみる、というのは(実際にそんなことをしている人など見たことないにもかかわらず)お約束の行動イディオムだが、自分を嗅ぐのも同様の自己確認プロトコルだ。自分から発する信号を自分自身で受け取ったという acknowledge信号が、自分が継続的に自分をやっているというリアリティーの基本にある。ふだんほとんど意識にのぼらない、体内から聴こえる顎の音、舌が感じる歯の硬さ、自重を支えるかすかな痛みなども同様。とりわけ、匂いの回路は脳の奥深く突き刺さっている。そして自分が所在なくなってくると、足を揺すったり、かさぶたを剥がしたり、指をしゃぶったり、口びるを噛んだり、自分自身を嗅いだりしはじめる。酸欠に似た、自分欠状態だ。

マッシュルームに騙されてはいけない。彼らが狙っているのは、どうやらわれわれの脳髄にあるIDだ。

(Aug.1995)
http://www.renga.com/capex/ct02t.htm

 

コメント    

2004年09月05日
00:08
安斎利洋
で、なんで資生堂かというと、例のAg+シリーズだ。

人間の皮脂や汗は、皮膚常在菌によって匂いを出すようになる。銀イオンで殺菌してしまえば、汗がにおわない、というわけだ。

今年の蒸し暑い夏のある日、興味本位で買ったAg+のスプレーを首やうなじにまで吹き付け、すっきりした気分で出かけたとき、驚くような体験が待っていた。他人が異様に匂う。まるで自分が犬になったように、近くにいる人が子供か若者か老人かが、目をつむっていてもわかったりする。

鮭は鮭臭いが、鮭は鮭を鮭臭いとは思わない。人間もほかの動物からすると人間くさいわけだけれど、人間は人間を人間臭いとは思わない。普段は、自分の匂いをバイアスにして他人の個別のにおいを嗅ぎ分けているけれど、普通の人間の匂いをなくしてしまうと、いわば匂いの人間圏からドロップアウトする。

もし自分の周囲に匂い的に人間脱落した人がいたら、おそらく自分は人間という獣が匂うだろう。そう思うと、自分も消臭せずにいられない。そうやって、どんどん匂いを消していく「無臭スパイラル」に陥る。

少なからず、清潔ビジネスというのはこのスパイラルに乗って、利益を上げてきたわけだ。いい匂いで生活を満たすことと、自分の匂いを消すことは、同じベクトルのようでいて、実はまったく交差しない話だ。そもそも皮膚の常在菌を完全に殺してしまって、いいわけがない。

マッシュルームの遺伝子は、間違いなく資生堂に紛れ込んでいる。

2004年09月05日
00:33
べてぃ☆
自分は、犬並の嗅覚があります(笑)。

子供の頃、部屋の掃除のメイドに、インド人が来ました。
何か不思議な匂いがしました。
今はわかりますが、クミンです。
彼らの国民食のカレーに入ってます。

それが、体から染み出るなんて、脅威だと思いました。

日本人は割りと体臭の少ない国民ですが、やはり食事と関係しているんでしょう。

香りで憤慨した話しをひとつ。
銀座のとある有名寿司店。
入る前に「お客様、香水をおつけですね??」
香水は付けてないが、お風呂で使う石鹸にジャスミンの
精油が練りこんである。全くの天然もの。

お客様と一緒だったので、横柄な態度を我慢。
なんだろうと思いながら入る。

しばらく歓談していると、タバコの香り・・
???

有名店の店長は、ジャスミンの天然精油には
厳しくて、タバコには寛大なのか!

こんな店もう絶対に来ないと思いました。

明日Ag+使ってみます!

2004年09月05日
17:15
Archaic
はじめて外国へ行ったとき(アメリカですが)空港の税関でチーズのような匂いがしました、パキスタンエアラインはカレーの、大韓航空はキムチの(安いところばかり利用してますね)匂いがしました。
中国は八角の匂いだったと友人が。
日本は醤油の匂いなのかな?とふとその頃思いました。
日本人は体臭が少ないと私も思っていますが、もしかしたらそれは日本人だからかも、と思ったり。
京都の市バスで糠漬を買って持っていたおばさんの横に座ったアメリカ人の友人が「この人は豚のような臭いがする!」と怒って席を離れました。
2004年09月05日
18:35
mi
先日、ニンニクを食べると、
肌からニンニクのニオイを放つ成分が
出るようになるというニュース記事を読みました。
ニンニクだけじゃなくって、
みんな基本的に食べた物でできているのだから、
食べたモノの匂いになるのは、当然なのになぁ・・・
と、思って読んでいました。

実際、その国にはその国のニオイがあるし、
そういうニオイの人がいる感じます。
(でも、ヤッパリ、私も日本人臭はどういうのか、
分かりませんけど・・・。)

そういえば、私は一時(貧困さあまって)
キャベツばかりを 食べていたことがあるのですが、
その時会った友人に「キャベツ臭い」と言われました・・・。

余談ですが、
昨日、友人が、「果物ばかりを食べさせて育てたハクビシン(!)は、
なんともいえず風味のある、心地よい、旨い食べ物だ」
(食べても重くなくって、いくらでも食べれちゃう感じなのですって)
という話をしていて、思わず、
「じゃあ、私は口に入れるもののほとんどが果物とアルコールだから、
きっと物凄く旨いよね、オツだよね〜♪」と、
我ながらトッテモ怖い発言をしてしまいました・・・。
2004年09月05日
23:48
安斎利洋
miさんは昔、アオムシだったんだ!

食べたものの匂いがする、というのは、食べても自分の体になりきらない部分が余って外に出ていくような気もします。アスパラを食べたあとのおしっこがアスパラの匂いになる、って話もある。コーヒーとかニンニクとか、旨いけれど強すぎる剰余がありそう。

人間味があるとか人間臭いとか言いますが、そういうのはたいてい人を食ったヤツが多いですね(比喩です)。

Archaicさんの旅の話は、市中はものの匂ひや…という感じです。人が集まるところは、その文化特有のにおいになる。

匂いが充満する空間っていうのは空気だけじゃなくて意味の空間でもあって、ニンニクの匂いのするラーメン屋は好きでも、同じ匂いのするオヤジは好きにはなれない。パクチーの匂いはかつて抵抗があったのが、あるときから病み付きになり、それはきっとパクチーの意味圏に接続したんだと思います。ピータンもそうです。

豚の匂いのするおばさんに抵抗があるのは異文化として当然で、あるときそこに接続すると、糠の匂いにも、そのおばさんにも接続可能になる。そういう柔軟さを、人間はもっていますね。

死んでも接続できない匂い、というのがあれば、それはきっと生理的に近づくと危険なものなんでしょう。人間も含めて。
2004年09月06日
00:07
Archaic
>死んでも接続できない匂い、というのがあれば、それはきっと生理的に近づくと危険なものなんでしょう。人間も含めて。

そういえばアゲハの幼虫で臭い匂いで敵から身を守ったり、スカンクのようなのがいたり。
臭覚はいつのまにかどんどん慣れてしまう柔軟さがありますが、やはり身を守る術としてはかなり有益なのでしょうね。
とすると、無臭化されてしまうということは、実は大変怖い事なのかもしれませんね。だれにでも接続可能で食用可能。
好んで狙われる事も無くなるかもしれませんが(フェロモン?)
2004年09月06日
02:05
安斎利洋
>とすると、無臭化されてしまうということは、実は大変怖い事なのかもしれませんね。だれにでも接続可能で食用可能。

そうなんですよ。無臭化願望って、いわばステルス願望で、自分を他人より無に近づけようというデフレスパイラルですから。

みんなが、自分を他人より大きく見せようっていうオレオレスパイラルの世界よりは、まあ暮らしやすいけれど、みんな無臭になっていくのは直感的に怖い感覚があります。けっこう本気で、Ag+はやばいなと思います。きっと、皮膚にも良くないし。

せっかく放っているフェロモンも、みんなシャワーで流して男女がつきあってるっていうのは、動物としては実にもったいないことしているのかも。
2004年09月06日
02:10
安斎利洋
>有名店の店長は、ジャスミンの天然精油には
>厳しくて、タバコには寛大なのか!

すし屋の煙草は、ホントあったまくるね。
2004年09月06日
06:45
べてぃ☆
はい!頭に来ますね!

多分、グラム辺り、本マグロよりも高いはずの
ジャスミンの香りを知らないなんて!
と思います。
タバコ吸っている叔父さまが横に座ったりすると、
「吸っても良いですか?」って聞いてきても、
「吸っても結構ですけど、吐かないで下さい」と
答えてしまいます。

Ag+すごいですね。本当に無臭になります。
2004年09月06日
10:25
mi
>死んでも接続できない匂い、というのがあれば、それはきっ
>と生理的に近づくと危険なものなんでしょう。人間も含め
>て。

ですよね・・・。そういうものに近寄ると、生命力の危機を感じるので、なるだけ近づかないように気をつけています。

>みんなが、自分を他人より大きく見せようっていうオレオレ
>スパイラルの世界よりは、まあ暮らしやすいけれど、みんな
>無臭になっていくのは直感的に怖い感覚があります。けっこ
>う本気で、Ag+はやばいなと思います。きっと、皮膚にも
>良くないし。

ヒーラーは吸収系で、他人の放出する邪気を吸収するので、
冷たい感じとは言いますが、(雪女とか妖女とかも?)
暑苦しい邪気を出してるヤツにしても、
吸い取っちゃうヤツにしても、
エネルギーの交換をしている(=存在している(感がある))
のに、これは、本当に「無」・・・無機質化ですよね。

それもたった、Ag+という物質だけで・・・?
ほんとに、こわい・・・・ぃ。

>すし屋の煙草は、ホントあったまくるね。

本当に!
ともかく喫煙者には煙を吐かないで欲しい・・・。
ぺてぃさん、同感〜・・・ていきなり話しかけました。
(はじめまして、misa joeyです。どうぞよろしく。)
2004年09月06日
10:29
mi
アオムシ!(そういえば、その時そう言われたかも・・・。)

最近はリスと言われることが多いです。

この前は、美味しそうなものを探そうとサーチしていたら、
鳥の餌のページに行き着いてしまいました・・・。
2004年09月06日
21:10
しゅわっち
「自分から発する信号を自分で受けとる」ってのは本能に即した行動じゃないかなあと思うのです。
最近メタ認知(自分を語ること)の意義をずっと考えているんだけど、結局は自分と環境の境界を知ることかなと思い始めています。人間は、システム的には外と内の境界も持っていないというのはオートポイエシスの考え方ですよね。「自分から発する信号を自分で受けとる」(語ることはそのひとつの方法)は、その境界を知りたいが故の行動なんでしょう。鼻をかんだら見る、便を拭いたら見る(うう、汚くてごめんなさい)、などなど、自分を知りたいという欲求から来る行動かも?
2004年09月06日
22:27
べてぃ☆
misa joeyさん、はじまして!!宜しくお願いします。

犬にこのAg+をかけたらどうなるんでしょう。
実験したいですが、結構こわいかも。

実家では、コッカーのブリーダーを母がしてたことがあり、
その当時私は近所のわんこにもててました。
でも、人間様にはくさかったとおもいます(笑)。
2004年09月07日
01:46
しゅわっち
>>ニンニクを食べると、
肌からニンニクのニオイを放つ成分が
出るようになるというニュース記事を読みました。

これって本当ですか?
僕日記に偶然今日書いたんだけど、にんにく味のパスタに、ここ10年くらいはまっていて、家で料理する時はいつもにんにくなのです。にんにくと肉と牛乳があればもう幸せという感じ。あ、あとワイン(なんや結構必要やん!)。

にんにくのするオヤジにはなりたくないなあ。。
でも食べるの大好き。どうしたらええねん!
2004年09月07日
02:14
安斎利洋
すわっち! 認知科学的援軍、たのもしい限り。

僕もある時期、毎朝にんにくをオリーブオイルで炒めるところから一日を始めないと、どうにも落ち着きませんでした。

>にんにくのするオヤジにはなりたくないなあ。。
>でも食べるの大好き。どうしたらええねん!

そりゃ、まわりにみんなにんにく食ってもらうしかないなー。
2004年09月07日
02:29
mi
すわっちさん>コレです。
http://www.asyura2.com/0401/health8/msg/537.html

(皮膚とはちょっと違ったかも・・・全身だそうです。
おおもとの記事が削除されちゃってますね(+_+))
2004年09月07日
02:36
mi
それと、おやじくさいより、ニンニクくさい方がよいと思います。
あくまでも私の好みですが・・・。

にんにくくさくっておやじくさいのはすごぉ〜くイヤかも・・・
万が一自分が「おやじ臭」放ち始めたと気付いたら、
是非オヤジ臭をノックアウトするほどニンニクを沢山食べていただきたい。
2004年09月07日
02:39
mi
ぺてぃさん はじめまして。
こちらこそよろしく。

かけられた犬的には人間以上な大ショックでしょうね・・・
自己の存在全部を否定された気分になると思います。
(臭いは彼らにはきっととってもとっても大切なのさ〜♪)

かわいそうだからやめましょう・・・。
2004年09月07日
03:12
miyako/玉簾
キノコの消臭効果はシャンピニオンエキスでしたっけ。
臭いを消す商品のコマーシャルには、私も危機感を感じます。
人なんですからみんな臭うわけですし、あんなに臭いを悪く言う
とちょっと臭っただけでいじめられたりしそうだし。

石垣は、亜熱帯の強力な湿度の為、全員平等に汗だく状態です。
黒や紺のTシャツは、汗が乾くと塩の筋が残ります。
島民は「臭いに対する思いやり又は寛大度」が高いと言えるでしょう。
台湾人のお店の前を通ると、ニンニクとシナチクと五香粉の
匂いがします。

私は香水や蚊取り線香にきわめて弱いのですが、ジャスミンの生
花や夜香木の強力なかおりは大丈夫です。
ジャスミンの花は、近づくと吸い込まれそうになる不思議な香り
です。
あと、真夜中「クンクン」臭いをかいで歩き回って、火事やガス
漏れを発見した事もありますが、表彰してもらえませんでした。

島では、草花も虫も何もかも「オレオレ臭」を出しているので、
巨大なスパイラルの中で全員が日々撹拌されているのでしょう。
「におい」は重要な情報です。
「におい」は眠っている記憶を鮮明に思い出させるそうですよ。
2004年09月07日
09:41
しゅわっち
misa joeyさん、はじめまして。よろしくお願いします

>>それと、おやじくさいより、ニンニクくさい方がよいと思います。 あくまでも私の好みですが・・・。

そうですね。まだ前者は出てないと思う。。。
僕の場合、ニンニクを沢山食べてもあまりにんにくくさくならない身体のような気が前からしているんです、実は。

教えていただいたwebサイトの記事。「ライオン生物科学センターの平山知子研究員らが突き止めた」とありますね。これを最初読んだとき、なあんだ人間で実験しろよ、人間で。と思ったけど、、しばらくして気付きました。あっ、会社のライオンね。僕はおおぼけではなかったはずなんだが。。血液型もBではないし。。。



2004年09月07日
15:38
mi
すわっちさん、どうもです。

そういえば・・・美味しいニンニク(上手にお料理されて甘くなってるヤツ)は食べてもクサくならない様な気が、実は私もしています・・・。

自分もあまりニンニクの悪臭はしない体質のような気も
していますけど、好きなクサさだからクサくないんだろ〜な〜。
(と、まさに、今回の本題に迫った発言・・・。)

実は本来、私はニンニクよりショウガ派なのですけど、
美味しいニンニクはホントになんとも言えず奥深く複雑な味、
(オイルとかの効果も混ざっているのでしょうが・・・)
たまらなく旨いですよね〜♪
2004年09月08日
02:05
安斎利洋
さっき、強風のなか、ニンニクたっぷりの坦々麺を食ってきました。

ペペロンチーノのニンニクは、食べてもそんなにはにおわないでしょう。ニンニクをまるのまま、切ったり外圧を加えない状態で熱を加えたものは、さらににおわないはず。生ニンニク、それもおろしたものは、いっぱつで全身にまわりますね。口ゆすいでも取れない、なんて研究しなくてもわかりそうなもんだ。

ペペロンチーノレベルのにおいなら、通常の身体距離なら問題ない。通常でない距離になるパートナーなら、いっしょに食べればいい。問題は、通常でない距離で赤の他人とくっつく空間があること。それから、通常の関係から通常でない関係になろうってときがあることかな。

おやじくさい、っていうのは、粗悪なタクシーに乗ったときと、安いビジネスホテルで部屋が臭いときに、これだと思います。でも、加齢臭っていうのは、万人がいずれ突き進む方向にあるわけで、こういうことが忌み嫌われる世界って、年老いていくビジョンを暗くしますね。僕は、ジジイになったら玉簾さんの言うようなにおいに寛容な世界に引っ越そう。そうしよう。

においの話って、ほんとに面白い話がどんどん出てきますね。たぶん、自分が受信者でもあり送信者でもあるからだと思う。

まさに、すわさんの言うとおり、自己の境界というオートポイエティックな問題だと思います。いいにおい悪いにおいというのは、免疫システムとも通じる。著作権も、財産権というカスな問題を除くと、自分のにおいのついた領域に他人のにおいがつくことへの寛容と拒絶、というふうに、自分のにおいの問題に言い換えることができると思う。
2004年09月08日
02:09
安斎利洋
>真夜中「クンクン」臭いをかいで歩き回って、火事やガス
>漏れを発見した事もありますが、表彰してもらえませんでした。

アルス・エレクトロニカで展示したときに、電源電圧を降圧する巨大なトランスがうまく合わず、熱を出してたいへんでした。友人の奥さんが非常に鼻のきく人で、トランスがやばくなると「におう!」と叫ぶ。スタッフはいっせいに、負荷を軽くする操作に入る。彼女は、以来「電源犬」と呼ばれています。

玉簾さんも、表彰状ではなくなにか犬の称号がほしかったですね。
2004年09月08日
02:15
安斎利洋
>実は本来、私はニンニクよりショウガ派なのですけど、

そういえば、ニンニクが苦手な人はいるけれど、ショウガのにおいが嫌い、って人は、あんまりいないですね。

タイ料理でつかう、カーというショウガは、けっこう好きです。自分は死ぬと、こういう香りのする地中の空間に帰るんだ、なんて思いを誘います。
2004年09月08日
02:28
安斎利洋
プルーストじゃないけれど、匂いはいろんな記憶を呼び起こすみたいで、もうひとつ思い出した。

大阪のホテルで朝食を食べていたとき、あきらかにヤの世界のかたがたが10人くらい入ってきて、いちばんえらいと思しきヤの方が僕に向かって、
「にぃさん、食事中悪いんだけど、吸ってもいいかい」
と聞いてきた。僕は、どぎまぎしながら、
「あ、どうぞ」と答えました。

なんと礼儀正しい人たち…

>「吸っても良いですか?」って聞いてきても、
>「吸っても結構ですけど、吐かないで下さい」と

これ言ったら、今頃どうなってたなかな、と思って。

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