検索フォーム

googleモデレーター全体に公開
2009年07月13日21:04
googleが衆院選の公示まで、こんなサービスをはじめた。

http://moderator.appspot.com/?hl=ja#16/e=9df89

ここで使われているgoogleモデレーターが、簡単な仕組みだけど、面白い。

ユーザーは、質問を投稿できる。
それだけじゃなく、ユーザーは、すでに投稿された質問に対して、○か×かを投票ができる。

論点について論じる前に、論点そのものの是非をまず投票。
無意味な質問は、この仕組みで淘汰されるわけ。
（こういうのがほしいパネルとか、あるよね）

自分は論点Ａで選んだつもりなのに、当選した候補者は論点Ｂに力を入れる、というずれはよく起こるわけだから、「論点」に投票できるというのは、民主主義の新しい技法として考えられても面白いかも。

白黒の前に、どこに石があるかを考える、というのは、人間が賢くなるプロセスとしても自然だ。このサイトで、質問がだんだん賢く推敲されるかどうかが、まずは興味しんしん。

コメント

真ッ佐男2009年07月14日 02:27
「その他のテーマ」で
直接民主制を実現する為のあなたはどのような役割を果たせますか？
これから更に進行するネットワーク社会は代議制と国家を否定する事になると思われますがその事についてはどのように考えますか？
と投稿してみた。
googleは議会になるのだろうか？
安斎利洋2009年07月14日 03:13
http://moderator.appspot.com/?hl=ja#15/e=9df89&t=981e7

いま、真ッ佐男さんの投稿に一票を投じてみました。

少数にしか支持されない優れた論点が、しだいに浮上するような仕組みになるのかどうか。
多数決である限り、それは不可能なのか。

この企画がただちにうまくいかなくても、面白い実験です。
Mike2009年07月14日 06:52
ニュースでも取り上げていましたね。
面白い試みだと思います。
時間のある時に、試してみようっと。
小林千早都2009年07月14日 08:16
ちょっとログインしてやってみました。
よく考えられたしかけですね。
人気のないのが埋もれてしまうのが少し難かな…しかたないけれど。
安斎利洋2009年07月14日 13:31
>ニュースでも取り上げていましたね

いうことは、これから人が増えるでしょうね。いま分母が１０００人くらいの規模だけれど、これが１万、１０万になったときに、どうなるのか。それこそ、電子的な直接民主制の可能性をイメージする実験になりますね。

>人気のないのが埋もれてしまうのが少し難かな

「この質問に投票してください...」というランダムなピックアップが表示されますが、攪拌を意図しているんでしょう。質問がさらに増えると、埋もれたロングテイルがますます遠くなる。
エラボレーションの仕組みを作るのは、簡単じゃありませんね。
Hanna2009年07月14日 14:13
おもしろそうです。
使い勝手には色々改善の余地はありそうですね。

大学院でも、ちょっと「ネットデモクラシー」の授業がありましたけど。

「その他のテーマ」で、

「いままであなたが実現してきた事で、何が世の中のために役立っていますか？簡単な人助けでもビジネスでも研究でも政策でも、地方でも国政でも国外でも、地域やジャンルは一切問いません。」

なんて、投稿してみました。
一度、聞いてみたかったんですよね、これ。
安斎利洋2009年07月14日 23:31
>ネットデモクラシー

これは、どなたの講義ですか？

いまの民主主義の技術は、ネットの特性を考えると、いろいろ変えうるところがありますよね。僕は昔、多様決というのを考えました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=185531111&owner_id=63253

来週、早稲田でこの仕組みを使った実験をたくらんでいます。
Hanna2009年07月15日 09:36
あー、安斎さんの日記はおもしろすぎて、
脳の回転速度が低下しているときに来ると、めまいを起こします

民主主義って、きっと語源は、
多様性とか反証とか、論駁とか、そんなんじゃないですか？
デカルト様とかにラテン語で語ってもらうと。

だって、

デモ
クラシー

って、「俺たちは反対する階級！」みたいな感じしません？

ものすっごくカンだけで語ってるので、恥をかくのを承知で。

ちゃんと調べないとね。

ちょっと、リーズ時代のノートをひっくり返してみたくなったので、
しばらく後でまた来ます。


ネットデモクラシーは、いろんな講義ででてきていたんですよ。
やっぱり、時代性プラスお国柄でしょうか、デモクラシーの保障については先生たち、みんな熱かったーです。政治音痴の私には、新鮮でした。


せっかくのお休みで、たまってる家事をかたづけたいのに・・・。
安齋さんを恨みますげっそり
安斎利洋2009年07月15日 14:13
>せっかくのお休みで、たまってる家事をかたづけたいのに・・・。

すみませーん。でも、たまには家事なんて、ゃめちゃぇ、、、（悪魔の声）

デモクラシーはもともと専制政治へのアンチなんだけれど、「賢い一人にまかせておく」から、「みんなで賢くなる」へという設計変更といえますよね。でも、「みんなでバカになる」という作用から、どうしても抜けられない。

だから、まだ誰も気づいていない新しいデモクラシーのデザインがあると思うんですよね。
けっこう単純な解がありそうな予感。
Hanna2009年07月15日 22:23
うゎ、悪魔の声、してたんだー。危ない危ないあせあせ（飛び散る汗）


ある程度の家事は片付け、どっぷりとノートの山で遭難していました。
いや、英語読解力が低下しました。確かに自分が書いたノートなんですが・・・。


色々あったんですが、私がすごくおもしろかったのは、ちょっとずれますけど、Media Matrixというクラスでやったハッカーの話でした。


担当は、Dr.Paul Taylor
http://ics.leeds.ac.uk/details.cfm?id=17&susername=pault

共著の「Hacktivism and Cyberwars: Rebels with a Cause?」、機会があったら日本語に訳してみたいですー。って、どんだけ無謀な妄想してるんでしょうか（笑）

http://www.amazon.co.uk/gp/product/0415260043/026-5606692-7927658?v=glance&n=266239&s=books&v=glance

サイバー活動家の行動をハッキングの手法を研究したセオリーに基づいて分析してるのですが、


巨大な組織・権力＝金が管理・運営するサイトやネットの仕組みそのもろを利用して、その巨大さゆえの脆弱性を付いたり、その力をあえて借りて自らの主張を効果的に広める、Hacktivist。

いまや、サイバーテロなんて呼ばれているけれども、それはあくまでも権力の側からの位置づけで、「悪」と決め付けるのじゃなくて、新しい形の（政治）運動として、分析してます。


同じことは、例えば、コカコーラとかの広告に、ちょっと落書きしてものすごく強烈な、しかも逆なメッセージを伝えてしまう、とか。

合気道や柔道で相手の体重や力を利用して弱者が一本とる、というやり方に通じると。


権力が集中し、管理統制が進めば進むほど、そこに対抗する勢力も変容していく・・・

みたいなお話です。

一人一票、みんな平等ーみたいな「絵に描いた民主主義」とはまた違うアプローチで、権力と反権力のバランスが生まれていく。


私には難しくて、うまく説明できないです。残念。
英語では半分もやもや、日本語の語彙がない、あぁ悲しい・・・。

久しぶりにアカデミック脳細胞を使ったので、いい運動になりました。
安斎利洋2009年07月15日 22:30
面白いですねー。

何年か前、ドコモがモバイル社会研究所を立ち上げたときの最初の研究テーマに、いわゆる「悪」の効果について分析したものがありました。詳しいことは忘れましたが。

彼らはたしか、どのくらいソフトが違法コピーされると、儲けが最大になるか、なんていう計算もしていた。まあ、立ち位置は逆に見えるけれど、ウィルスの進化における役割、みたいなもんですね。
Hanna2009年07月16日 16:12
すんごくおもしろくて難解な、頭がいつもショートするような講義でした。テイラー先生が主宰してる、ジジェクのウェブジャーナルもおもしろいですよ。（http://zizekstudies.org/）


簡単なのに、難しい

が、私の感想です。


モバ研ですね？
いつもおもしろそうなテーマが進行してるようですねー。


「悪」って相対的なものです。

薬か毒か


どのくらい違法コピーされたら、最大になったんでしょう、興味ありますね！

安斎利洋2009年07月17日 01:56
>簡単なのに、難しい

世の中には、簡単なことを難しい語り口で話せるひとと、ジジェクのように難しいことを簡単な語り口で話せるひとと、二種類いますね。もちろん前者になるほうが簡単で、大学には掃いて捨てるほどいますね。

>どのくらい違法コピーされたら、最大になったんでしょう、興味ありますね！

家のどこかに報告書があったんだけど、、、、みつからない。
たとえばコピーした若者が作り手になり、何年かあとに業界に寄与する、みたいな回路まで考えると、また評価も違ってくるだろう、と思った覚えがあります。
Hanna2009年07月17日 13:47
わーいチャペル

ジジェクのことを話せる人に会ったのは、日本でまだ３人目なんです。
きっと私のこれまでの人生が、全く別の方向に進んでいたんでしょうね。

課題のエッセイを書いてからジジェクを読んだので、先に読まなくてよかったーと思いました。自分で言いたかったけど表現できなかったことを、簡潔に明瞭に書いているので、読んでいたら引用だらけになってゃったと思いました。

でも、読んであっさり納得した！！と思ったことを、誰かに伝えようとすると、てんで説明できないんです（笑）


違法コピーの効果、
全くその通りだと思います。

私も、何本も何本も違法配信で見てしまった韓国ドラマとか、結構いきおいついてDVD買っちゃったり有料配信にはまったりしましたから、あそこまで違法にはまると、ある程度は利益に貢献したわけですね。

将来の若者の創作意欲を掻き立てる、ところまで考えるともっと深くなりますー。行き着く先は、コピーレフトな文化ですね。でもこれって昔に戻るだけですかね。

すみません、終わらなくて










安斎利洋2009年07月17日 14:26
ジジェクは、人気高まってる気がします。去年、ラカンの本が平積みになってましたから。

芸能人のものまねをする芸人のなかで、すごい人は脳の中まで憑依するけれど、ジジェクはそんな感じがしました。難解な思想を整理して人気を獲得する「哲学学者」はいっぱいいるけれど、ラカンのようにメタファーが裏側で緻密な織物のようになった世界は、整理しようとしてもできないわけですよね。ジジェクは、シンプルな織物を織りなおして、別ものを作る力があるからすごいんでしょう。

コピーの問題も同じで、表面的なコピペとか、コンテンツの配布の問題ばかり産業界は気にするけれど、創作の現場の問題としては、まさに憑依で、ある作家になりきれる人は、別な作家になることができる。

連画をやってから、しょっちゅう著作権の議論に引き込まれるんだけれど、そういうところまで考えている人は、実に少ないです。
Hanna2009年07月17日 20:56
>ジジェクは、人気高まってる気がします。去年、ラカンの本が平積みになってましたから。

そうだったんですか！
知りませんでした、ずっと外出してなかったので。How to read Lacanが（？）一般書店で平積みですか？へー。

そういえば、私の本棚にも平積みになっています・・・。翻訳の参考にと思って買ったものの、まだ読んでいない。日本語版も買っとけばよかったー。頭のホコリを払って、読んでみよう。


先生からいただいたZizekのDVDを持っているんですが、
「The Pervert's guide to Cinema 1.2.3」
映画分析オンパレード、おもしろいです。


仕事で私も著作権業務をやりましたが、(今もちょっとやってます）産業界の動きと、自分がいいナーと思う動きって一致しないです。


文化産業という妙なネーミングが、むなしーい感じです。
どんなにディズニーががんばっても（お金的なとこの）著作権が消滅するくらい長生きできるアートを生み出すために、役立ちたいものです、文化産業。

すっかり最初のテーマからはずれ続けて・・・あせあせ（飛び散る汗）

Hanna2009年07月18日 10:18
はずれついでに、安齋さんにお願いがあります。

もし興味をお持ちであれば、ジジェクのジャーナルに何か投稿をしていただけませんか？

先生に、日本からの投稿者も探してね、って言われていたの、すっかり寝かしたままになっていました。

ほとんど大学の研究者みたいですけど、デジタルアート分野の方からの投稿なんて、とっても歓迎されます。（多分、ジジェク本人が一番歓迎するのではないでしょうか！）


こんなところで突然のお願いですが、ぜひご検討をお願いします。
安斎利洋2009年07月19日 05:01
Hannaさん、お誘いありがとう。しかしジジェク・スタディーズは恐れ多いですね。なにしろ僕は、通りすがりの「利用者」にすぎませんから。

しかし、ジジェクは利用しやすい話を書きまくってますね。今日も、学環の院生とシナリオのないドラマの話になって、ジジェクが書いたメキシコの連続テレビ・ドラマの撮影の話を、「利用」させていただきました。俳優たちは台本をもたず、耳にイヤホンをつけていて、その場で送られてきたシナリオどおりに演技する、という話。これは、ラカンの大文字の他者だ、と。

こういう話、大好き。

ジジェクの本は、いくらなんでも普通の本屋で平積みではありません。ジュンク堂４Ｆの話です。
Hanna2009年07月19日 08:59
>しかしジジェク・スタディーズは恐れ多いですね。なにしろ僕は、通りすがりの「利用者」にすぎませんから。


とても共感いたします。私も正直、先生に翻訳の補助を頼まれたときはおもしろそうだからやるっ、と簡単に引き受けたものの、いざやってみるとあまりにレベルが高くて、イントロだけお手伝いして後は寝かしたまま早２年・・・。

「怖気づいたのかっ？」と突っ込まれて、「まさかっ」と返したままです。バレバレがまん顔


東大の原先生に校正をやっていただいたのですが、大変綿密な校正にあまりに自分の訳がひどくて・・・あせあせ（飛び散る汗）　原さん、最初からご自分でやったほうが早くなかったでしょうか・・・と恐縮しました。


シナリオを読まないドラマ、おもしろそうー。学環は、いつも本当に刺激的なことが起こってますね！

そろそろ、寝かしたままの翻訳お手伝い、再開しようかなぁ。

あっと、その前に、読もう我が家の平積み。


　安斎利洋mixi日記　一覧へ