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穴を掘る全体に公開
2009年05月19日02:17
以前、田名網敬一さんのお宅にうかがったとき、毎日ある時間、同じ机に向かい、記憶から沸いてくる形をとらえて描きとめる、それを何年も続けているのですよ、という話に惹かれた。連作を見せてもらった。

同席していた編集者が、かたや連画で他者を掘っている僕らと、かたや自分の中に穴を掘っていく田名網さんを対比していたけれど、その二項対立はちょっと違うな、とその時思った。

自分を深く掘っていくと、蓋のしまったドラム缶のようになるわけじゃなくて、なぜか他者のような無限が、自分の底に開く。

去年ムサビのオートポイエーシス論に出ていた本田さんが、電車でスコップを学校まで運び、一人ひたすら校内のあるところに穴を掘り、意味もなく穴をほりつづけて、深い穴の底から空を見ている写真をmixiの日記で見た。

ときおり現れるカブトムシの幼虫。あのしーんとした土の匂い。

小学生時代のある時期、家に穴を掘っては親に怒られ、空き地に穴を掘ってはおじさんに怒られ、授業中に穴の断面図をノートに書いては先生に怒られた。穴の底に寝そべると、空がそのぶん高くなる。

久しぶりにどこかで穴を掘ってみようかな。

--------- 本田さんの掘った穴

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コメント

Hiro2009年05月19日 05:56
長いこと穴を掘っていないことに気付かされてしまいまいた。
掘り出すとやめられなくなる、あの記憶が蘇ってきました。
久しぶりにどこかで穴を掘ってみたくなりましたが、もはや
そんな場所もそんな体力も無さそうです(笑)。
  
みやばら2009年05月19日 06:51
落とし穴でなく、穴をほる!?
そんな遊びがあるんですか。
寝太郎2009年05月19日 07:14
せんせ〜い、質問で〜す。


では他者を掘ると何がそのぶん高くなるのでしょ〜か。
とまや2009年05月19日 08:54
今日は別の友達が学校で穴を掘りはじめました。笑
nazo2009年05月19日 10:18
>家に穴を掘っては親に怒られ、空き地に穴を掘ってはおじさんに

多分、安齋さんは分かっているのだろう。

♂にとって、穿つという行為は生まれ出づる習い性なのですよ、ね。
godzi22009年05月19日 11:08
まぜてもらいたいものですね
安斎利洋2009年05月19日 16:39
アナホリストのみなさま

>そんな場所もそんな体力も無さそうです(笑)

なんで昔は、あんなに穴の掘れる場所があったんだろう。

>落とし穴でなく、穴をほる!?

自分の掘った落とし穴に自分で落ちたことが2度あります。

>では他者を掘ると何がそのぶん高くなるのでしょ〜か。

高い方向がいつくにもなりますね。

>今日は別の友達が学校で穴を掘りはじめました。笑

それはもうすでにプロジェクトだ。

>♂にとって、穿つという行為は生まれ出づる習い性なのですよ、ね。

墓穴を掘るのも、土くれに帰ろうとする習性でしょうか。

>まぜてもらいたいものですね

すでに穴の中だったり。
真ッ佐男2009年05月19日 20:18
一週間程前ですが、こんな新聞記事がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090511-OYT1T00988.htm?from=rss&ref=newsrss
場所によっては犯罪あつかいのようです。平城京跡は気持ちいい所ですが・・・

6ヶ月程前ですが40年程前の須磨を復活させた様です。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200811060095.html
「掘り続ければ地球に穴が開き、それを境に両者が反転するという思考実験を中断した形」とのことです。

こちらはその40年前の須磨公園の穴
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2007/09/an-introduction-to-mono-ha.html
僕は参加しませんでした仲間達がお祭りのように掘りそして積み上げた。
アシュレイ・ローリングスのこの記事はとてもいいですね。

50年程前の何故か隣の家の穴堀りに参加したことがあります。
関東ローム層が懐かしい。

安斎利洋さんがどこにどんな穴を掘るか楽しみです。
寝太郎2009年05月19日 23:32
私も最初に意識に登ったのが関根伸夫でした。もの派はいまだにインパクトがありますね。日本の現代美術の原点と言ってもいい(吉原 治良さんは怒りますか。だってね具体は日本現代美術の無意識をミシェル・タピエ以下に掘り起こされて現代美術になったのであって、「もの派」の確信犯とは次元が違うと思うのですよ)。

他者に穴を掘るとね、「関係性」の層が盛り土になってカンブリアンゲームが出来上がるってのはどうですか。(座布団一枚下さい。安斎さん)
安斎利洋2009年05月20日 02:18
まっさおさんが記憶に穴を掘る馬力には、敬服します。

凹を掘るとき、掘った土の断層を凸に見る。関根伸夫の作品は、やはりすごい。

99歳で亡くなった祖母の棺桶は、麻の紐でくくられ、類縁の男たちが四方から紐を肩にかつぎ、墓地の穴まで運ばれました。祖母の亡骸の四分の一は、驚くほど軽かった。

墓地には、穴と、掘った穴の盛り土があって、白い木箱が穴の底にこつんとあたり、紐が抜かれて、そして人々の一握の土くれとともに、盛り土が埋め戻される。土は棺桶のぶんだけ高くなる。

今ではもう土葬をしないそうですが、あの葬式はすばらしかった。
あ っ こ2009年05月20日 13:48
私の生まれた家の庭には私用のブランコがあったり砂場があったりしたのですが実は一番好きだった場所は大人の背丈ほどに大きくなったドウダン躑躅の根元でした。

根元は日が当たらないので適当に枝が落ちていて子供にはちょうど良い隙間を提供してくれていました。

そして絶えず穴を掘りました。
木の奥はちょっとしたブッシュ状態だったから堀まくり!!

金魚のお墓とドジョウのお墓と猫のお墓と鳥のお墓と鶏のお墓とめだかのお墓と・・・・・・・・・・

茂る草の間に小枝で作った十字架が立ち並ぶ場所。

一度だけ金魚のお墓をそっと堀返してみたことがあります。
小骨一本でてこなかった。
ぁぁぁ
SYNDI2009年05月20日 17:03
小さい時からオトナになりかけるまで長くセキセイインコを飼っていたので、まあどうしても順繰りに死んでゆくのを、伯母の家の庭に穴を掘って埋めていました。
なるべくお墓を掘った場所は覚えているようにして、おなじところには掘らないように気をつけていましたが、もしかしたら同じところも掘ったかもしれません。(一度も白骨は出てきませんでしたが)
墓標を置いておいても、必ず撤去されていました。
なぜならあたしが作る墓がやたらと多かったからです。
セキセイインコは常にだいたい30羽ぐらい家におり、あたしは通算して200羽ぐらいヒナを孵しています。
それで、お墓は大雑把に数えて99箇所ぐらいあった計算になるのです。
そんなに広くもないのに。
伯母が掘る穴はあたしのと違ってとても大きく、それは生ゴミを埋めて土に返すための穴でした。
穴を掘られたことのない地面の方が少ないってぐらいの庭でしたわ。
安斎利洋2009年05月20日 17:28
本田さんから穴掘りの写真をもらって、↑に貼りました。

>あっこさん、SYNDIさん

僕も叔父が散弾銃で撃ったモズを庭に埋めたことがあります。
犬や猫を飼ったことがないんだけれど、大きいペットは、死ぬとどうやって葬るんだろう。
真ッ佐男2009年05月20日 21:21
2時間程前に早速「本田」さんの「穴堀り」アルバムを閲覧させてもらいました。写真からは平城(ひらじろ)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9F%8Eの「堀と土塁」の関係を思い出しましたが、
本田さんの気分はJ・タレルの「オープンスカイ」ですね。おそらく。
20年前に訪ねたアリゾナのローデン・クレーターが彷彿としました。

丁度その頃、安房鴨川の山の中で土葬を望むおばちゃん達の為に2、3つの穴掘りの手伝いをしました。
SYNDI2009年05月21日 01:13
>大きいペットは、死ぬとどうやって葬るんだろう。

今はこういうのがさまざまあります。
http://www.petsougi.net/

うちも犬が死んだとき火葬してもらって、永代供養料を払ってマンション墓みたいなところにおさめてもらいました。
昔は地べたがたくさんあったので、やっぱり埋めていたんだと思いますが、今はそんな場所はないものねえ。
安斎利洋2009年05月21日 03:18
オープンスカイは、地中美術館で体験しましたが、あそこは墓穴ですね。埋葬される快感があります。同じ安藤建築のせいか、福武ホールで話をしていると、お前のやっていることはすでに埋葬されている、という幻聴をききます。

>安房鴨川の山の中で土葬を望むおばちゃん達の為に2、3つの穴掘りの手伝いをしました。

これは、生きてるおばちゃんたちが土葬を望んでいて、そのひとたちのための墓穴を掘った、という意味でしょうか。なんか喚起される話ですね。
安斎利洋2009年05月21日 03:21
>うちも犬が死んだとき火葬してもらって、永代供養料を払ってマンション墓みたいなところにおさめてもらいました。

価格表を見ましたが、けっこうな値段ですね。仮想だけなら(おっと良い誤変換なんでそのまま)5万円以下ですね。

本田さんは、穴をもう埋め戻したそうです。なにかついでに埋葬したかな。

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