日曜の夜に放映されたNHKスペシャル「ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる」は、圧倒的だった。火曜の深夜に再放送があるので、見てない方はぜひ。
たまたま先週、早稲田のデジタルメディア論ゼミで、「人殺し」の話をした。人は殺してはいけない。しかしどこまでが人で、どこから人でないかという境界線は自明でない。
ヤノマミの出産したばかりの少女が、生れ落ちたそれをヒトとするか精霊として森に返すか、自分自身で判断しなくてはならない。その顔を、僕はこれから何度も思い出すだろう。少女の気持は、自分の中にある感情の類型ではわかりきれない気がするからだ。
ヤノマミの集落は、まるで細胞膜のような形態の環状の家だ。ヒトと精霊を分ける根拠は、この膜組織に保護されたミームにあり、ミームの担い手は神話だ。僕らが生活に応用している物語や感情に比べると、ここにある感情の語彙は豊かで厳しい。
再放送は、NHK総合火曜の深夜(つまり厳密には水曜)、0時45分から。